近年、脱炭素社会の実現に向けて、再生可能エネルギーへの注目が高まっています。その中でも風力発電は、二酸化炭素の排出を抑えられる発電方法として世界各国で導入が進められてきました。日本でも、洋上風力発電を中心に普及拡大への期待が高まっています。
この記事では、風力発電の仕組みをわかりやすく解説しながら、メリット・デメリットを詳しく紹介します。また、日本とヨーロッパにおける導入状況の違いや、今後注目されている理由についても解説するので、再生可能エネルギーへの理解を深めたい方はぜひ参考にしてください。
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そもそも風力発電の仕組みとは?
風力発電とは、風の力を利用して電気をつくる再生可能エネルギー発電のひとつです。風によって風車の羽根(ブレード)が回転し、その回転エネルギーを発電機へ伝えることで電気を生み出します。
火力発電のように石油や石炭などの化石燃料を燃やさないため、発電時に二酸化炭素(CO2)を排出しない点が大きな特徴です。また、太陽光発電が日照条件に左右される一方で、風力発電は風があれば夜間でも発電できます。
風力発電設備は、おもに風を受ける「ブレード」、発電機などを内蔵する「ナセル」、設備全体を支える「塔体」で構成されています。ブレードが風を受けて回転し、その動力がナセル内部の発電機へ伝わることで発電する仕組みです。発電された電気は変電設備を通じて電圧を調整した後、送電網を経由して家庭や企業へ届けられます。
近年は、陸上よりも安定した風を利用しやすい洋上風力発電にも注目が集まっており、再生可能エネルギーの普及拡大を支える発電方法として期待されています。
風力発電のメリット
風力発電には、以下のようなメリットがあります。
- 二酸化炭素を排出しないクリーンな発電
- 風があれば24時間発電可能
- 太陽光や地熱と比べて変換効率が高い
- 発電コスト低下が期待されている
- 自国の資源を活用できる
- 洋上風力など設置場所の選択肢が広がっている
以下で詳しく解説していきます。
風力発電のメリット①:二酸化炭素を排出しないクリーンな発電
風力発電は、風の力を利用して電気をつくるため、火力発電のように石油や石炭などの化石燃料を燃焼させる必要がありません。そのため、発電時に二酸化炭素(CO2)や大気汚染物質をほとんど排出しない発電方法として注目されています。
近年は地球温暖化対策として脱炭素化が求められており、風力発電はその中心的な役割を担う存在として期待されています。なお、風車設備の製造や建設時には一定のエネルギーを消費しますが、稼働中はクリーンな発電を継続できる点が大きな特徴です。
風力発電のメリット②:風があれば24時間発電可能
風力発電は、太陽光発電とは異なり、日照条件に左右されない点が特徴です。風さえ吹いていれば、夜間でも発電を続けることができます。
特に太陽光発電の発電量が落ちやすい夜間や悪天候時に、風力発電が電力供給を補完する役割を果たせる点は大きなメリットです。複数の再生可能エネルギーを組み合わせることで、より安定した電力供給につながることが期待されています。
風力発電のメリット③太陽光や地熱と比べると変換効率が高め
風力発電は、風のエネルギーを電気エネルギーへ変換する効率が比較的高い発電方法です。一般的に変換効率は30〜40%程度とされており、太陽光発電の約20%、地熱発電の約8%と比べても高い水準にあります。
この変換効率の高さは、少ないエネルギーロスで効率的に発電できることを意味しており、発電量の確保にもつながります。再生可能エネルギーの中でも、実用性の高い発電方法として注目される理由のひとつです。
風力発電のメリット④発電コストが安価
風力発電は、風を利用して発電するため、火力発電のように石油や石炭などの燃料費がかからず、一度設備を設置すれば、運転時のコストを抑えやすい発電方法とされています。
また、近年では風車の大型化や発電技術の進歩、導入規模の拡大が進んでおり、発電効率の向上や発電コストの低下も期待されています。
特に洋上風力発電では、大型化した風車によってより多くの電力を生み出せるようになっており、将来的には火力発電に匹敵する、あるいはそれ以下のコストで電力供給できる可能性もあるとされています。再生可能エネルギーの中でも、コスト面で注目されている発電方法のひとつといえるでしょう。
風力発電のメリット⑤自国の資源を活用できる
日本は石油や天然ガスなど、多くのエネルギー資源を海外からの輸入に依存しています。その中で、国内で無尽蔵に得られる「風」を活用できる風力発電は、エネルギー安全保障の観点からも重要な存在です。
また、地域に根ざした風力発電所の整備は、建設や保守管理に伴う雇用創出につながるほか、観光資源として活用されるケースもあります。地域経済の活性化に貢献できる点も、風力発電のメリットです。
風力発電のメリット⑥設置場所の選択肢がある
風力発電は、陸上だけでなく海上にも設置できる点が特徴です。特に近年は「洋上風力発電」が大きな注目を集めています。
洋上は陸上よりも強く安定した風が吹きやすいため、より効率的な発電が可能です。広大なスペースを確保しやすく、大型の風車を設置できるメリットもあります。海上に設置することで、陸上と比較して騒音や景観への影響を抑えやすい点も特徴です。
洋上風力発電には、海底に基礎を固定する「着床式」と、海面に浮かべる「浮体式」があります。現在は、比較的浅い海域に設置する着床式が主流ですが、浮体式の技術開発も進んでいます。浮体式が普及すれば、深い海域にも風車を設置できるようになるため、日本のように周囲を海に囲まれた国では、大きな可能性を秘めているといえるでしょう。
また、洋上風力発電は発電規模を大型化しやすいことから、将来的には国内の電力供給を支える重要な電源のひとつになると期待されています。政府も導入拡大に向けた支援を進めており、今後さらなる普及が見込まれています。
このように、設置場所の選択肢が広がっていることは、今後の再生可能エネルギー拡大において大きな強みとなっています。
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風力発電のデメリット
風力発電は、環境に配慮した再生可能エネルギーとして注目される一方で、いくつかの課題やデメリットもあります。おもなデメリットは以下のとおりです。
- 発電量が安定しにくい
- 騒音問題への配慮が必要
- 初期費用・メンテナンス費用が高い
- 自然災害による破損リスクがある
- 設置に適した場所が限られる
それぞれ詳しく解説していきます。
風力発電のデメリット①発電量が安定しにくい
風力発電は、風の力を利用して発電するため、風の強さや向きに大きく左右されます。そのため、発電量を人為的にコントロールすることが難しく、風が弱い日や無風状態では十分な発電ができません。
また、季節や天候によって発電量が変動しやすい点も課題です。安定した電力供給を実現するためには、蓄電池の活用や、火力発電・太陽光発電など他の発電方法と組み合わせる必要があります。特に電力需要が高まる時期には、安定供給への対策が重要になります。
風力発電のデメリット②騒音問題への配慮が必要
風力発電では、巨大なブレードが風を切る音や、発電設備の機械音が発生します。人によっては耳で感じ取りにくい「低周波音」が、健康や生活環境へ影響を与える可能性があるとして問題視されることもあります。
こうした騒音トラブルを防ぐためには、住宅地から一定の距離を確保した場所へ設置することが必要です。しかし、日本では平地が限られているため、設置可能な場所がさらに限定される要因になりかねません。そのため、周辺住民への十分な説明や環境調査も重要となります。
風力発電のデメリット③初期費用・メンテナンス費用が発生する
風力発電設備は、大型の風車や高いタワーなどで構成されているため、建設時に多額の初期費用が必要になります。特に大規模な風力発電所では、設備の運搬や基礎工事にも高いコストがかかります。
また、風力発電は長期間にわたって安全に運転するために、定期的な点検や部品交換などのメンテナンスが欠かせません。ブレードや発電機は常に風や雨にさらされているため、劣化対策も必要です。
近年期待されている洋上風力発電では、海上での特殊作業や海底ケーブルの敷設、波や潮風による腐食対策などが必要になるため、陸上よりも維持管理コストが高くなる傾向があります。設備の建設から維持管理まで、多くの費用がかかる点は大きな課題のひとつです。
風力発電のデメリット④自然災害で破損するリスクがある
日本は台風や落雷、地震など自然災害が多い国であり、風力発電設備にも大きな影響を与える可能性があります。特に台風による想定以上の暴風は、ブレードの破損や設備故障を引き起こすリスクがあるため対策が必要です。
また、日本海側を中心に冬季の落雷が多い地域では、風車への雷対策も重要です。洋上風力発電では、海風による塩害(サビ)への対策も欠かせません。
ほかにも、乱流や雪などの自然災害リスクが存在するため、風力発電を安定的に運用するには、耐久性を高める設計や継続的なメンテナンスが必要になります。近年は、強風や落雷に耐えられる設備開発も進められており、自然災害への対応力向上が重要な課題となっています。
風力発電のデメリット⑤設置に最適な場所の条件がある
風力発電は、どこにでも設置できるわけではありません。一般的には、「年平均風速6.5m/秒以上」という一定の風況条件を満たす必要があるとされています。
巨大な風車設備を建設現場まで運搬するためには、広い道路や搬入ルートの確保も必要です。発電した電気を効率よく送るためには、送電網へ接続しやすい場所であることも重要になります。
このように、風力発電を設置するには、風の強さだけでなく、インフラ環境や地理条件など複数の条件を満たさなければなりません。設置できる場所が限られてしまう点は、風力発電の大きな課題といえるでしょう。
日本における風力発電の導入状況

日本では、脱炭素社会の実現に向けて再生可能エネルギーの導入が進められています。環境エネルギー政策研究所(ISEP)の発表によると、2024年の日本国内の全発電電力量(自家消費含む)に占める自然エネルギーの割合は26.7%となり、前年の25.7%から1ポイント上昇しました。太陽光発電を中心に再生可能エネルギーの導入は拡大傾向にあります。
一方で、風力発電が占める割合は1.13%にとどまっており、自然エネルギー全体の中でもまだ低い水準です。ただし、2016年以降は徐々に導入量が増加しており、長期的には右肩上がりで推移しています。近年は、洋上風力発電への期待が高まっており、政府も導入拡大に向けた政策を進めています。
日本で風力発電の導入が急速に進まない背景には、設置場所の問題があります。風力発電は、安定した強い風が吹く地域でなければ十分な発電効率を得られません。また、日本は山地が多く平地が少ない地形であるため、大型風車を設置できる場所が限られています。
加えて、風車設備を運搬するための道路整備や、発電した電気を送るための送電網への接続など、インフラ面の課題もあります。騒音や景観への配慮から、住宅地周辺への設置が難しいケースも少なくありません。
このように、日本の風力発電は徐々に導入が進んでいるものの、地理的条件やインフラ整備などの課題が多く、欧州諸国と比べるとまだ発展途上の段階にあるといえるでしょう。
ヨーロッパにおいて風力発電の導入が進んでいる背景
ヨーロッパでは、世界に先駆けて風力発電の導入が進められてきました。環境エネルギー政策研究所(ISEP)によると、欧州(英国を含む)では、年間の電力供給に占める風力発電の割合が20%に到達しており、風力発電が主要な電源のひとつとして定着しています。
ヨーロッパで風力発電が普及した背景には、まず「偏西風」が挙げられます。年間を通して安定した強い風が吹く地域が多く、風力発電に適した自然条件が整っています。
ヨーロッパには「浅く広い海域」が多いことも大きな強みです。洋上風力発電では、海底に基礎を固定する「着床式」が主流なので、浅い海ほど建設しやすく、コストも抑えやすくなります。特に、島国であるイギリスの周辺は洋上風力発電に適した地形条件が整っているため、大規模な洋上風力発電所の建設が進められてきました。
また、ヨーロッパ各国では、脱炭素社会の実現に向けた政策を積極的に進めていることも、導入拡大の理由です。EUでは温室効果ガス削減目標を掲げ、再生可能エネルギーの導入を各国で推進しています。化石燃料への依存を減らし、エネルギー自給率を高める目的もあり、国を挙げて風力発電への投資が行われています。

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風力発電は私たちの生活を守る発電方法
世界ではすでに風力発電が主要な電源として活用されており、日本でも今後さらに導入拡大が期待されています。風力発電をはじめとした再生可能エネルギーを上手に活用していくことは、地球環境を守るだけでなく、将来の安定したエネルギー供給にもつながる重要な取り組みといえるでしょう。
また、電気の使い方や契約内容を見直すことも、環境負荷の軽減につながる第一歩です。毎月の電気料金を見直したい方は、シミュレーションでどれくらいお得になるか、一度チェックしてみてください。
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