エコキュートと電気温水器の違いとは?仕組みや寿命・電気代などの違いを解説

給湯器を新しくしたいとき、「エコキュート」と「電気温水器」のどちらを選ぶべきか悩む方も多いのではないでしょうか。

どちらも電気でお湯を沸かしますが、仕組みやコスト、寿命などには大きな違いがあります。

この記事では、エコキュートと電気温水器の基本的な違いから、それぞれのメリットとデメリット、電気代や本体価格の比較、設置スペースの違いまで詳しく解説します。ご家庭に合った給湯器選びの参考にしてみてください。

エコキュートと電気温水器とは?

エコキュートと電気温水器は、どちらも電気でお湯を沸かす「貯湯式(ちょとうしき)」の給湯器です。しかし、お湯を沸かす仕組みや電気代、環境性能には違いがあります。まずは、それぞれの特徴を見ていきましょう。

エコキュートとは?

エコキュートは、空気の熱を利用してお湯を沸かす給湯器です。エアコンの暖房と同じ「ヒートポンプ技術」を使用するため、比較的少ない電気で効率的にお湯が作れます。

従来の電気温水器と比べると消費電力を約4分の1に抑えられ、電気代の節約につながることが特徴です。また、環境に配慮した設計であり、地球温暖化への影響も抑えられます。

電気代を抑えたい方や、環境に優しい暮らしを目指す方に適した給湯器と言えるでしょう。

電気温水器とは?

電気温水器は、貯湯タンク内の電気ヒーターで直接水を加熱する、シンプルな構造の給湯器です。エコキュートに比べて本体価格が安く、初期費用を抑えられるというメリットがあります。

エコキュートのような屋外機器が不要であるため、設置スペースがコンパクトで済み、運転音も静かです。ただし、電気代はやや高くなる傾向があります。

初期費用を抑えたい方や設置スペースが限られている方、静音性を重視する方に適していると言えるでしょう。

【特徴や電気代を比較】エコキュートと電気温水器の違い

エコキュートと電気温水器は、どちらも電気でお湯を沸かす給湯器ですが、仕組みやコスト、使い勝手にはさまざまな違いがあります。

お湯を作る仕組み、本体価格、電気代、寿命・耐用年数、設置スペースの5つのポイントで比較すると、以下のような違いがあります。

エコキュートと電気温水器の特徴を比較

項目

エコキュート

電気温水器

仕組み

ヒートポンプ方式

電熱ヒーター方式

本体価格(370L)

約97〜126万

約57〜78万

電気代(月額)

約1,500〜2,500円

約5,000円

寿命・耐用年数

10〜15年

10〜15年

設置スペース

2〜3m×1m程度

1m×1m程度

それぞれの項目について、詳しく解説します。

お湯・熱を作る仕組み

両者の最も大きな違いは「お湯を作る仕組み」です。エコキュートは、屋外の空気から熱を取り込み、その熱を圧縮して高温にしてお湯を沸かします。

エアコンの暖房と同じヒートポンプ技術を使っているため、使う電気エネルギーの何倍もの熱エネルギーを生み出すことができて効率的です。そのため、電気温水器と比べて消費電力を約4分の1に抑えられます。

一方、電気温水器は電気ポットと同じ仕組みです。貯湯タンク内の電熱ヒーターに電気を通し、その熱で直接水を温めます。

構造がシンプルで故障しにくいのですが、空気の熱を利用するエコキュートと比べると、多くの電気を消費します。この仕組みの違いが、月々の電気代に大きく影響するのです。

本体価格

初期費用として最も大きな割合を占めるのが本体価格です。製品の機能や貯湯容量によって価格は大きく異なりますが、一般的に電気温水器の方がエコキュートよりも安価な傾向にあります。

ここでは、三菱電機の製品を例に、具体的な価格を見ていきましょう。

貯湯容量

タイプ

エコキュート

電気温水器

型番

本体価格

型番

本体価格

370L

フルオート

SRT-S376U

1,260,000円

SRT-J37WD5

787,000円

エコオート(セミオート

SRT-C377

1,010,000円

SRT-J37CDH5

573,000円

給湯専用

SRT-N377

970,000円

SRG-376G

608,000円

  • 価格はカタログ本体価格(税別)です。実際の販売価格や工事費は販売店によって価格は異なります。

本体価格を比較すると、エコキュートは電気給湯器よりも高額です。しかし、エコキュート導入にあたっては、国の補助金制度を利用できる場合があります。

経済産業省が実施する給湯省エネ2025事業では、性能に応じて1台6万円〜最大13万円の補助金が交付されるため、実質的な負担額を減らすことが可能です。

電気代

電気温水器はタンク内の電熱ヒーターで直接水を温めるため、使用する電気量が多くなります。

一方、エコキュートは空気中の熱を取り込んでお湯をつくる「ヒートポンプ方式」を採用しているため、少ない電力で効率よく沸かすことが可能です。

資源エネルギー庁の試算では、エコキュートは電気温水器に比べて約75%の電気代を削減できるとされています。

また、月々の電気代で見ても、エコキュートは約1,500〜2,500円、電気温水器は約5,000円と大きな差があります。

長期的にはエコキュートのほうがお得になる場合が多いと言えるでしょう。

寿命・耐用年数

エコキュートと電気温水器の寿命はどちらも10〜15年程度で、大きな差はありません。

ただし、エコキュートは貯湯タンクと屋外に設置する熱を作る機器の2つで構成されており、屋外機器の方が先に寿命を迎える可能性があります。

貯湯タンクは10〜15年、屋外機器は5〜15年が目安です。

また、多くのメーカーでは無償保証期間に加え、延長保証サービスを提供しており、トータルで10年程度の保証期間を備えているケースもあります。

メーカーや販売店の保証内容を確認し、アフターケアを含めた選び方を検討しましょう。

設置スペース

設置に必要なスペースは、電気温水器の方がコンパクトです。電気温水器は貯湯タンクのみですので、1m×1m程度のスペースがあれば設置可能です。

一方、エコキュートは貯湯タンクに加えて、ヒートポンプユニット(空気の熱を取り込む屋外機器)を設置する必要があるため、2〜3m×1m程度の広いスペースが必要になります。

また、運転音が発生するため、隣家との距離も考慮する必要があります。

ただし、近年では奥行きがスリムな薄型タイプのエコキュートも登場しており、設置スペースが限られている場合でも対応できるケースが増えています。

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エコキュートのメリットとデメリット

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エコキュートは電気代を大幅に節約できる一方で、初期費用が高いなど、メリットとデメリットがあります。

導入を検討するときは、その両面を理解した上で判断することが大切です。それぞれ詳しく見ていきましょう。

エコキュートのメリット

電気代を節約できる

エコキュート最大のメリットは、ランニングコストの安さです。ヒートポンプ技術により、電気温水器と比べて消費電力を約4分の1に抑えられるため、電気代を節約できます。

月々の電気代で見ると、電気温水器だと約5,000円かかるのに対し、エコキュートは約1,500〜2,500円です。年間約3万円以上の差になります。また、夜間の割安な電力を利用してお湯を沸かすため、電気料金プランの工夫でさらに節約効果が期待できます。

環境に優しい

エコキュートは、ヒートポンプ技術により、CO2排出量を削減できる環境に優しい給湯器です。

電気温水器のように電気ヒーターで直接加熱する方式と比べると、使う電力が少なく、発電に伴うCO2排出量も抑えられます。

冷媒には地球温暖化係数の低いCO2を使用しており、フロンガスなどの温室効果ガスを使わない設計です。

環境省も「デコ活」の一環として高効率給湯器の導入を推奨しており、環境負荷を減らしながら家計にも優しい選択肢と言えます。

エコキュートのデメリット

初期費用・導入コストが高い

エコキュート最大のデメリットは初期費用の高さです。前述の通り、電気温水器と比べて本体価格が2倍以上になるケースもあります。

予算に余裕がない場合や、すぐに引越す予定がある場合は、初期費用の負担が大きく感じられるでしょう。

ただし、補助金制度を活用すれば実質的な負担を軽減でき、月々の電気代削減により長期的には回収できる可能性があります。

初期費用とランニングコストのバランスを考えて判断することが大切です。

お湯切れを起こす可能性がある

エコキュートは、貯湯式の給湯器であるため、一度に大量のお湯を使うとタンク内のお湯がなくなり「お湯切れ」を起こす可能性があります。

電気温水器も同じリスクがありますが、エコキュートの場合、日中に沸き増しをすると割安な夜間電力を使えず、電気代が高くなってしまいます。

最近の機種には沸き増し機能が搭載されていますが、来客が多い日などは注意が必要です。家族の人数や使用量に合わせて余裕のある容量を選びましょう。

ヒートポンプの設置スペースも必要

前述の通り、貯湯タンクに加えて屋外機器の設置スペースが必要になるため、電気温水器と比べて約2〜3倍の広さが求められます。

狭い敷地や庭のない住宅では設置場所の確保が難しい場合があり、運転音への配慮も必要で、隣家との距離が近い場合や寝室の窓の近くには設置できないこともあります。

設置場所が限られる場合は、薄型タイプの検討や、事前に業者に現地調査を依頼して設置可能かどうか確認することが大切です。

電気温水器のメリットとデメリット

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電気温水器は初期費用を抑えられ、静音性が高いというメリットもある一方で、電気代が高くなるなどの傾向があります。

エコキュートとどちらを選ぶべきか判断するため、その両面の特徴を確認していきましょう。

電気温水器のメリット

静音性が高い

電気温水器は、エコキュートのような空気を圧縮する機器がないため、運転音が非常に静かです。

エコキュートは運転時に音が発生し隣家への配慮が必要ですが、電気温水器は貯湯タンク内の電気ヒーターで加熱するだけなので、ほとんど音がしません。

そのため、時間帯を気にせずお湯を沸かすことができ、隣家と近い住宅密集地や寝室の近くにも設置しやすいメリットがあります。

設置場所も選びやすく、騒音トラブルのリスクも抑えられます。

トラブル時にもお湯が出る

電気温水器は災害時に強いというメリットがあります。停電したときも貯湯タンクにお湯が残っていれば、しばらくの間はお湯の使用が可能です。

エコキュートも同様に貯湯式のため停電時にお湯が使えますが、電気温水器のほうが構造がシンプルなため、トラブルが少ない傾向にあります。

また、断水時にはタンク内の水を非常用の生活用水として活用できる「非常用取水栓」が付いている機種もあり、災害時の備えとして安心です。

電気温水器のデメリット

電気代が高くなる

一番のデメリットは、電気代の高さです。前述の通りエコキュートと比べて、月々約3,000円、年間では約3万円以上の差になります。

電気ヒーターで直接水を加熱する仕組みのため、消費電力が大きくなるのです。

初期費用を抑えても、長期的なランニングコストを考えると、トータルでの出費が大きくなる可能性があります。

電気代を重視する方は、初期費用が高くてもエコキュートを選んだほうがお得でしょう。

お湯切れを起こす可能性がある

電気温水器には「貯湯式」と「瞬間式」の2種類があります。貯湯式はタンクにお湯を貯めておくタイプで、一度に大量のお湯を使うとお湯切れを起こすリスクがあります。

一方、瞬間式は使う時にその都度お湯を沸かすため、お湯切れの心配はありません。しかし、本体価格が高く一度に使えるお湯の量に制限があります。

一般的な家庭では貯湯式が主流のため、人数やライフスタイルに合わせて適切な貯湯容量の機種を選ぶことが重要です。

エコキュートや電気温水器におすすめの料金プラン

夜間電力を有効活用「オール電化プラン」

エコキュートや電気温水器は、1日分のお湯を夜間にまとめて沸かす仕組みです。お湯の沸き上げには多くの電気を消費するため、その時間帯の電力量料金単価が安いプランを選ぶことが重要です。

オール電化プランは夜間時間帯の電力量料金が割安に設定されているため、エコキュートや電気温水器の運転コストを大幅に抑えられます。

オール電化住宅にお住まいの方や、これから導入を検討している方には、オール電化プランがおすすめです。

  • オール電化プランの供給エリアは北海道・東北・関東エリアのみです。

太陽光パネル・蓄電池があるなら「自家消費応援プラン」

太陽光発電システムを設置している家庭向けのプランです。昼間に太陽光で発電した電気をエコキュートの沸き上げに活用すれば、夜間に高い電気を買う必要がなくなり電気代を節約できます。

売電単価より買電単価のほうが高くなるケースが多いため、発電した電気を自宅で使った方が経済的と言えます(例:卒FIT後の売電単価の目安が10〜11円/kWh、住宅向け一般買電単価の目安が31円前後/kWh)。

ただし、地域・契約内容・使用時間帯によって異なりますので、個別の条件をご確認ください。

また、使いきれなかった電気は売電して収入を得られるため、「自家消費+余剰売電」を組み合わせることで、家庭全体の電気代を最も効率的に抑えることができます。

  • 自家消費応援プランの供給エリアは北海道・東北・関東エリアのみです。

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エコキュートと電気温水器の違いを理解して、電気代を節約しよう

エコキュートと電気温水器は、仕組みや電気代、初期費用、設置スペースなど、さまざまな違いがあります。初期費用を抑えたいなら電気温水器、長期的なランニングコストや環境性能を重視するならエコキュートがおすすめです。

ライフスタイルや予算を総合的に考慮して、最適な給湯器を選びましょう。ENEOSでんきでは、家庭の電気の使い方に合わせた料金シミュレーションをご用意しています。ぜひ一度お試しください。

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著者 ENEOS Power編集部

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