浴室乾燥機は、天気に左右されず洗濯物を乾かせるのが魅力です。しかし、「頻繁に使うと電気代が高くなりそう」と心配になる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、浴室乾燥機の電気代を期間や熱源別にシミュレーション。乾燥・換気・暖房・涼風の機能別の電気代や洗濯乾燥機との比較や電気代を抑える節約術も紹介しているので、すでに利用している方やこれから購入を考えている方は参考にしてください。
浴室乾燥機の特徴
浴室乾燥機とは、浴室に設置される設備で、洗濯物を乾かしたり、湿気やカビを防いだりするためのものです。おもな使用用途は「乾燥・換気・暖房・涼風」の4つで、暖房や涼風機能を備えたタイプもあり、入浴時の快適さを高める役割もあります。
浴室乾燥機の熱源は3つの種類に分けられ、それぞれ設置条件や使い勝手が異なります。
熱源の種類 | 特徴 |
電気ヒーター式 | ・ヒーターで直接空気を暖める |
ヒートポンプ式 | ・空気中の熱を利用して暖める省エネタイプ |
ガス温水式 | ・給湯器で温水をつくり、熱交換して暖める |
また、設置方法には3つの方法があります。新築やリフォーム時に採用されやすいのが、天井裏に本体を収める「ビルトイン(天井埋込)タイプ」です。ほかにも、天井裏のスペースがなくても設置できる「天井付けタイプ」、すでにある換気口を利用して設置できる「壁掛けタイプ」があります。
浴室乾燥機の電気代はいくらかかる?
浴室乾燥機は多機能で便利な一方、「電気代が高くなりそうで心配」という声も少なくありません。
使い方によっては月に5,000円を超え、年間で数万円かかることもあります。ただし、すべての機種やモードが同じではなく、使用時間や熱源の方式(電気ヒーター式・ヒートポンプ式など)によって電気代は大きく変わります。
そこで期間別・熱源別に浴室乾燥機を使用するといくら電気代がかかるのかまとめてみました。
【期間別】浴室乾燥機の電気代を1時間・1カ月・1年間でシミュレーション
浴室乾燥機を使うと電気代がどのくらいかかるのか、実際にシミュレーションしてみましょう。ここでは電気ヒーター式を例に計算します。
電気代の計算式は以下の通りです。
電気使用量(消費電力(W)÷1000×使用時間)×電力量料金単価
これにマックス社の浴室乾燥機(BS-261H-CX-2)を当てはめてみます。衣類乾燥モードの消費電力は2020Wです。電気料金単価は31円/kWh、乾燥時間を1回につき3時間として計算。
期間 | 浴室乾燥機の電気代 |
1時間あたり | 62.62円 |
1カ月あたり(3時間×30日) | 5,635.80円 |
1年間あたり(3時間×365日) | 68,568.90円 |
電力量料金単価は、全国家庭電気製品公正取引協議会「新電力料金目安単価」の31円/kWhで計算。
1時間だけなら小さな金額でも、毎日使用すると1カ月で約5,636円、年間で約68,569円と高額です。実際の料金は機種や使用条件により変動しますが、家計への影響を考えると使い方の工夫は欠かせないでしょう。
【熱源別】浴室乾燥機の電気代の違い
浴室乾燥機といっても、使われる熱源によって電気代が異なります。1回につき3時間の使用を前提に、電気ヒーター式とヒートポンプ式の電気代を比較してみます。
消費電力は、電気ヒーター式が2020W 、ヒートポンプ式は一般的な値を参考に710Wで計算します。
熱源 | 1回あたりの電気代 |
電気ヒーター式 | 187.86円(2020W÷1000×3時間×31円) |
ヒートポンプ式 | 66.03円(710W÷1000×3時間×31円) |
電力量料金単価は、全国家庭電気製品公正取引協議会「新電力料金目安単価 」の31円/kWhで計算。
電気ヒーター式とヒートポンプ式では、1回あたりの電気代に約3倍の差があります。毎日使えば年間で数万円の違いになるので、長期的なコストを考えると熱源の方式選びは重要です。
【機能別】乾燥・換気・暖房・涼風で電気代はこんなに違う?
浴室乾燥機は使う機能によって電気代が異なります。電気ヒーター式浴室乾燥機の場合、負担が大きいのは衣類を乾かす乾燥機能で、3時間使うと約188円。
一方で、24時間つけっぱなしにする換気機能は1日わずか数円程度です。 暖房機能は1時間あたり約66円ですが、 涼風機能は1時間でも1円ほどで済みます。
- 乾燥:62.62円/1時間
- 換気:3.72円/1日(1カ月111.60円)
- 暖房:65.72〜69.13円/1時間
- 涼風:0.9円/1時間
電力量料金単価は、全国家庭電気製品公正取引協議会「新電力料金目安単価 」の31円/kWhで計算。
以下で、それぞれの機能ごとに詳しく解説していきます。
【乾燥】衣類を乾かすのにかかる電気代
浴室乾燥機の乾燥機能は、梅雨や花粉の季節に室内で洗濯物を乾かすのに欠かせない機能です。しかし、浴室全体に温風を循環させるため消費電力が大きく、電気代が高くなる傾向にあります。
たとえば、電気ヒーター式のマックス社の浴室暖房乾燥機の標準乾燥モードの消費電力は2020W。この乾燥機能を3時間連続で使用すると、約188円。これが衣類乾燥1回にかかる電気代の目安です。
1時間あ たりに換算すると約63円となり、毎日3時間使用した場合は1カ月で約5,636円、年間で約68,569円です。使いすぎると電気代が高くなるため、タイマー機能を使って必要な時間だけ運転する、電気代の安い時間帯に使う、などの工夫が必要です。
【換気】24時間つけっぱなしにした場合の電気代
換気機能は、浴室内の湿気やにおいを排出しつつ、カビ予防にも有効です。24時間換気機能は、常に空気を入れ替えて浴室や室内を換気する機能で、1日中つけっぱなしで利用するケースが多いでしょう。
ファンを低出力で回し続ける程度の電力しか使わないため、長時間運転しても電気代は抑えられます。
24時間連続運転した場合の電気代をみてみましょう。 換気の消費電力は5Wで 24時間つけっぱなしにすると、1日あたり約3.7円 、1カ月だと 約112円です。換気にかかる電気代はそれほど気にしなくてもよいかもしれません。
【暖房】暖房機能を使用した際の電気代
寒くて入るのがつらい冬の浴室に役立つのが浴室乾燥機の暖房機能です。ただし、ヒーターで温風を送り続けるため、電気代は高くなる傾向にあります。
電気ヒーター式の場合、入浴前で1時間あたり約69円、入浴中は約66円。モードを切り変えても大きな差はありません。
毎日使うと1カ月で約2,070円ほどかかります。寒さ対策として欠かせない機能だからこそ、電気代を抑えつつ、うまく活用することが大切です。
【涼風】夏場に扇風機代わりにした場合の電気代
浴室乾燥機の涼風機能は、夏場に浴室の蒸し暑さを和らげる送風機能です。エアコンのように空気を冷やすわけではないので消費電力は抑えられます。
強涼風運転の消費電力は30Wで、 1時間あたりの電気代は約0.9円。弱運転であれば、さらに半分程度に抑えられます。涼風機能は1時間使っても1円未満で、毎日6時間使用しても月162円ほど。涼風機能は、電気代を気にせず気軽に使える機能といえるでしょう。
【徹底比較】浴室乾燥機 vs 洗濯乾燥機、お得なのはどっち?
浴室乾燥機と洗濯乾燥機、どちらも便利ですが、消費電力や乾燥にかかる時間は異なり、電気代の負担にも差が出ます。
浴室乾燥機は暖房や換気など多機能なのが特徴です。一方、洗濯乾燥機は洗濯から乾燥まで一度に済ませられ、電気代も抑えやすいのが特徴です。以下で、実際の製品を例にして、それぞれの電気代と使用目安を解説します。
種類 | 消費電力 | 使用時間 | 1回あたりの電気代 |
浴室乾燥機 | 2020W | 約1時間45分 | 109.59円 |
洗濯乾燥機 | 960W | 約2時間 | 59.52円 |
電気衣類乾燥機 | 1220W | 約3時間 | 113.46円 |
電力量料金単価は、全国家庭電気製品公正取引協議会「新電力料金目安単価 」の31円/kWhで計算。
電気代だけじゃない!浴室乾燥機がもたらす4つのメリット
「浴室乾燥機は電気代がかかるから」と敬遠する人も多いです。しかし、以下のメリットが得られることから、それ以上の価値がある設備といえます。
- 天気や花粉を気にせずいつでも洗濯できる
- 洗濯物を外に見せず防犯面でも安心
- 生乾きの嫌な臭いを防ぎ、衣類がふんわり仕上がる
- 浴室のカビを押さえて掃除の手間を減らせる
天気や花粉を気にせずいつでも洗濯できる
浴室乾燥機を使えば、 洗濯物を干すタイミングを天気に振り回されることはありません。雨が続く梅雨や気温が低い冬でも、天候に左右されず好きなときに洗濯物を乾かせるのはメリットといえます。
浴室内に干すため、急な雨に降られても洗濯物が台無しになる心配もありません。さらに、花粉が飛ぶ春先でも外干しせずに済むので、衣類への付着を防ぐこともできます。
洗濯物を外に見せず防犯面でも安心
洗濯物を外干ししないと、防犯上の安心感も得られます。ベランダに干した下着や衣類を通行人に見られる心配がないのはもちろん、外に洗濯物が出ていないことで「家に誰もいないかも」と他人に察知されるリスクも軽減するでしょう。
女性の一人暮らしの場合、洗濯物を屋外に干さないことで 犯罪防止に役立つ場合もあります。
生乾きの嫌なにおいを防ぎふんわり仕上がる
部屋干しすると発生する生乾き臭は、濡れた洗濯物に繁殖する雑菌が原因です。浴室乾燥機なら暖かい送風で一気に乾かせるため、雑菌が増える前に乾燥が終わり、部屋干し特有の嫌なにおい防止につながります。
さらに、浴室に吊るした状態で乾かすため、洗濯物が重力で自然に伸び、シワになりにくいのもうれしいポイントです。洗濯乾燥機のように高温の回転で乾燥しないぶん、衣類が傷みにくく、縮みやごわつきを防げ、ふんわりと柔らかな仕上がりになります。
浴室のカビを抑えて掃除の手間を減らせる
入浴後についた水滴をそのままにすると、あっという間にカビが繁殖します。浴室乾燥機機能を使うことで、湿気を外に逃がし、ジメジメした空気を入れ替えることが可能。天井やコーナー部分など乾きにくい場所まで乾燥できるため、カビを予防できます。
浴室乾燥機を使うデメリット
浴室乾燥機は電気代が高くなりやすいことや、干すスペースが限られる点がデメリットです。以下で、それぞれ詳しく解説します。
電気代が高くなる
乾燥機別の比較表で示した通り、浴室乾燥機の乾燥機能は消費電力が大きいため、電気代が高額になる傾向があります。
電気ヒーター式浴室乾燥機の場合、消費電力は1200~2000Wになり、ドライヤーと同じくらいの電力を継続的に使用することになります。冬に毎日5時間の衣類乾燥や浴室暖房を使用した場合、月1万円程度の電気代がかかるケースも少なくありません。
洗濯物を干すスペースが限られる
洗濯物をかけられるのは、浴室の天井付近に吊るされたランドリーパイプが一般的です。浴室いっぱいに洗濯物を干せるわけではないので、洗濯物を一度に乾かすのは難しい場合もあります。大量に干すと衣類同士の間隔が狭くなり、通気性が悪くなって、生乾き臭が発生する原因になります。
今日からできる!浴室乾燥機の電気代を下げる5つの節約術
電気代が気になる浴室乾燥機ですが、ちょっとした工夫次第で電気代を節約できます。以下で紹介する方法を実践して、便利な浴室乾燥機を使いこなしましょう。
- フィルター掃除を月1回行い乾燥効率を上げる
- 「アーチ干し」で風の通り道を作り乾燥時間を短縮する
- 浴室内の水滴を拭き取り湿度を下げておく
- サーキュレーターを併用して風を効率よく循環させる
- 電力会社のプランを見直し深夜電力の活用を検討する
フィルター掃除を月1回行い乾燥効率を上げる
浴室乾燥機のフィルターにホコリがたまって目詰まりすると、風量が落ちて乾燥性能が低下し、その分余計に電力を消費します。つまり、フィルターをきれいに維持すれば乾燥効率が上がり、電気代の節約につながります。
フィルター掃除は、月に1回程度を目安として行いましょう。具体的には、フィルターを乾いた状態で取り外し、掃除機でホコリを吸い取ります。そのあと、水洗いしてから十分乾かし、元の位置に取り付ければ完了です。
「アーチ干し」で風の通り道を作り乾燥時間を短縮する
両端に丈の長い衣類、中央に丈の短い衣類を配置するのがアーチ干しです。デニムやバスタオルなどの厚手の洗濯物を端に、Tシャツや靴下などの丈の短いものを中央に干して高低差を出すことで空気の通り道ができ、乾燥スピードがアップします。
干し方を工夫して乾きやすくすれば、浴室乾燥機の稼働時間が減り、電気代節約につながるでしょう。
浴室内の水滴を拭き取り湿度を下げておく
浴室乾燥機を使う前に、浴室内の壁や床、天井に残った水滴を拭き取っておくことも大切です。浴室内に水分が多いままだと湿度が高く、乾燥機をフルパワーで回しても乾ききるまで時間がかかります。
水気を減らしておくと乾燥が効率よく進み、運転時間も短くなるでしょう。入浴後に壁面や床の水滴を拭き取るだけなので簡単です。この一手間で浴室内の湿度が下がり、乾燥時間の短縮が期待できます。
サーキュレーターを併用して風を効率よく循環させる
浴室乾燥機とあわせてサーキュレーターで空気を循環させるのも効果的な節約術です。浴室内の空気の流れが速くなるほど乾燥効率が上がり、衣類や浴室が早く乾きます。サーキュレーターの電気代はごくわずかのため、24時間つけっぱなしにしても10~30円程度の電気代しかかかりません。
サーキュレーターを併用することで浴室乾燥機の稼働時間を短縮でき、電気代節約につながります。サーキュレーターの消費電力を足しても時間短縮による節約効果のほうが大きいでしょう。
サーキュレーターの詳しい電気代はこちら
扇風機とサーキュレーターの違いは? 電気代から利用シーンまで比較電力会社のプランを見直す
浴室乾燥機の使用による電気代を根本から減らすには、料金プランの見直しも有効です。現在、さまざまな電気料金プランを選べる時代なので、自宅の浴室乾燥機の使い方に合ったプランがないか探してみましょう。
就寝中に浴室乾燥機で洗濯物を乾燥させる場合は、時間帯別プランといった夜間の電力量料金単価が安く設定されたものに 切り替えると節約効果が期待できます。
ENEOSでんきは、地域の電力会社と比較すると電力量料金単価が割安に設定されています。電気使用量が多い家庭ほどお得に利用できるプランです。いくらお得になるか電気料金シミュレーションで確認しましょう!
浴室乾燥機の電気代は高くなる傾向にあるが、電力会社乗り換え等で節約可能!
浴室乾燥機は便利な設備ですが、機能によって電気代が高くなりやすいです。フィルター掃除や干し方、サーキュレーターの併用などで長時間の稼働を抑える工夫をしましょう。
さらに、毎月の電気代を抑えるには、料金プランの見直しも効果的です。ENEOSでんきは電気使用量が多い家庭ほどお得になる料金体系のため、浴室乾燥機をよく使う方におすすめです。まずは料金シミュレーションで、どのくらい節約できるか確認してみてください。

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