燃料費調整額とは?電力会社ごとの違いや増減する理由を紹介

「電気料金の算定方法に含まれる燃料費調整額って何?」「電気代が高くなっていて、今後が心配...」など電気代について考えたことはありませんか?燃料費調整額の仕組みを理解すると、なぜ電気料金が高くなっているのかが分かります。

この記事では、燃料費調整額とはなにか、また計算方法や推移、上限などを詳しく解説します。電気料金が気になっている方はぜひ参考にご覧ください。

燃料費調整額とは?

燃料費調整額とは、火力発電に使う燃料に係る費用(貿易統計に基づく平均燃料価格) に応じた料金を電気料金に反映するものです。

電気をつくるには石油やLNG(液化天然ガス)、石炭といった燃料が欠かせませんが、その価格は世界情勢や為替の影響で毎月変動します。電力会社はこの変動分を「燃料費調整額」として電気代に反映させています。

つまり、電気使用量が同じでも燃料価格が高い時期には請求額が増え、逆に価格が下がれば減る仕組みです。

燃料費調整額は、世界情勢などの影響で毎月変動するため、「基準の燃料価格」と「実際の燃料価格」を基にして算出されます。

燃料費調整額の計算方法

燃料費調整額の基となる「燃料費調整単価」は、該当月(調整月)の数月前の3カ月間の平均燃料価格が反映されます。たとえば、4月の電気料金は1〜3月の平均燃料価格を基に算定されます。

燃料費調整単価は以下の計算式で算出します。

  • 燃料費調整単価=(平均燃料価格-基準燃料価格)×基準単価/1,000円

次に、算出された燃料費調整単価をもとに燃料費調整額を計算します。燃料費調整額の計算式は以下の通りです。

  • 燃料費調整額=燃料費調整単価×電気使用量

例として、関東エリアで4人暮らしを想定した以下の条件で燃料費調整額を試算してみました。

燃料費調整額の試算例
  • -9.65円 × 400 kWh = -3,860円
  • ENEOSでんき「東京Vプラン」の燃料費調整費。関東エリアの2025年10月分の燃料費調整単価(税込)、電気使用量400kWhとして計算

2025年10月の燃料費調整単価は9.65円のため、電気使用量が400kWhの場合、3,860円が電気料金から減算される仕組みです。

また、月の平均燃料価格の変動次第で燃料費調整額はプラスにもマイナスにもなり、電気代に毎月反映されます。

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燃料費調整額が変動する理由

燃料費調整額は、電気料金の算定項目の中でも変動しやすい項目です。石炭や液化天然ガスといった発電燃料は輸入に依存しており、その価格は市場の変化や為替、物価の高騰などで大きく動きます。

特に2022年頃には、ロシア・ウクライナ情勢の影響で燃料価格が急騰し、燃料費調整額も過去と比べて非常に大きく上昇しました。

ENEOSでんきの燃料費調整額の推移

ENEOSでんきの燃料費調整額の推移を以下の表にまとめました。

エリアごとの差は大きく、北海道や東北では高水準の調整が続く一方、中部や九州では小幅なプラス・マイナスを行き来しています。地域や時期によって料金への影響度合いが異なる点が、この制度の大きな特徴です。

エリア

10月分(9月使用分)

9月分(8月使用分)

8月分(7月使用分)

7月分(6月使用分)

6月分(5月使用分)

5月分(4月使用分)

4月分(3月使用分)

3月分(2月使用分)

2月分(1月使用分)

1月分(前年12月使用分)

北海道エリア

-9.56円

-9.75円

-9.06円

-6.66円

-6.26円

-6.07円

-7.29円

-8.59円

-8.69円

-6.12円

東北エリア

-10.79円

-11.03円

-10.35円

-7.96円

-7.43円

-7.19円

-8.37円

-9.77円

-9.93円

-7.43円

関東エリア

-9.65円

-9.90円

-9.25円

-6.88円

-6.39円

-6.19円

-7.38円

-8.83円

-9.00円

-6.51円

中部エリア

-1.02円

-1.21円

-0.49円

1.98円

2.63円

2.84円

1.64円

0.06円

-0.15円

2.33円

北陸エリア

-10.15円

-10.42円

-9.77円

-7.43円

-7.00円

-6.77円

-7.95円

-9.23円

-9.35円

-6.85円

関西エリア

~15kWh

9.60円

5.58円

15.05円

50.00円

56.68円

59.40円

41.39円

20.42円

18.19円

55.44円

16kWh~

0.64円

0.37円

1.00円

3.33円

3.78円

3.96円

2.76円

1.36円

1.21円

3.70円

中国エリア

~15kWh

-185.11円

-188.56円

-177.78円

-141.10円

-132.81円

-128.36円

-145.63円

-165.54円

-167.77円

-130.27円

16kWh~

-12.32円

-12.55円

-11.8円

-9.39円

-8.84円

-8.54円

-9.70円

-11.02円

-11.17円

-8.67円

四国エリア

~11kWh

-102.63円

-105.51円

-98.40円

-72.84円

-68.44円

-66.24円

-79.52円

-93.57円

-94.75円

-67.08円

12kWh~

-9.33円

-9.59円

-8.95円

-6.62円

-6.22円

-6.02円

-7.23円

-8.51円

-8.61円

-6.10円

九州エリア

-1.02

-1.31

-0.72

-0.37

-0.19

2.11

0.90

-0.41

-0.51

1.97

  • 政府支援値引きのある月は燃料費調整額に含まれます。

燃料費調整額に似ている「電源調達調整費」とは?

電源調達調整費とは、燃料費調整額と同じく電気料金の算定項目の一つです。電気の調達コストを反映する仕組みで「独自燃調」とも呼ばれています。なお、名称は電力会社ごとで異なります。

特に発電所を持たない電力会社は、日本卸電力取引所(JEPX)などを中心に電気を調達しており、調達価格は需給バランスや天候、社会情勢等で決まります。その際に発生するコストを電気料金に転嫁する目的としてあるのが電源調達調整費です。

算出方法は電力会社によって異なりますが、燃料費調整額と同様に、一定期間の市場の平均単価を算出するのが一般的です。基準から上回った場合は請求額が増え、下回った場合は請求額が下がります。

燃料費調整額の上限とは何?

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燃料費調整額には、燃料価格がどれほど高騰しても電気料金に上乗せできる金額に上限が設けられています。この仕組みにより、国際情勢や燃料市場の急激な変化があっても電気代の急な負担増を防ぐことができます。

規制料金には上限が設定されている

規制料金とは、従量電灯などの、電力の小売自由化以前から提供されている電気料金プランで、経過措置料金とも呼ばれています。電気料金や燃料費調整額の上限が法的に定められており、燃料価格が高騰しても、上限に設定されている燃料費調整額以上請求されることはありません。

対して自由料金は、電力自由化以降できた電力会社が独自に料金を設定できるプランです。自由料金には上限規制がなく、燃料費調整額の上限を撤廃していることが多いため、燃料費用が高騰した際は燃料費調整額も高騰します。電力自由化により参入してきた各社が工夫を凝らしたサービスを提供しているのが特徴です。

燃料費調整額のないプランも存在する

一部の電力会社の電気料金プランでは、そもそも燃料費調整額を設けていないものもあります。

燃料費調整額が設けられていない場合、あらかじめ基本料金や電力量料金単価にその分の費用を反映していることが多いです。市況の影響を受けないものの、割高の単価に設定されている場合もあるため、仕組みを理解して選ぶことが大切です。

燃料費調整額に関するよくある質問

燃料調整費額がマイナスになるのはどういう時ですか?

燃料費調整額がマイナスになるのは、発電に使う液化天然ガス(LNG)や石炭、石油といった燃料の値段が、あらかじめ決められた基準より安くなった時です。

調整額は燃料の平均価格と基準価格の差で計算され、マイナスになれば電気料金から差し引かれます。

つまり燃料が安くなると、その分電気代の負担も軽くなり、市場の下落が割引という形で家計に反映される仕組みです。燃料費調整単価が「▲○○円」「-○○円」となっている月は、電気使用量に応じた金額が減算されます。

燃料費調整額の上限撤廃の影響は?

燃料費調整額の上限が撤廃されると、燃料価格の変動がより直接的に電気料金に反映されます。そのため、燃料価格が高騰した時には電気料金も上がりやすくなります。

今は比較的落ち着いていますが、過去にロシア・ウクライナ情勢等の影響で燃料費調整額が高騰し、電気料金が高くなったことがあります。高騰し、電気料金が高くなったことがあります。

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電気代を節約したいなら燃料調整額も確認しよう!

電気代は基本料金や使用量だけでなく、毎月変動する燃料費調整額にも大きく左右されます。燃料費調整額は、発電に必要な石炭や液化天然ガス(LNG)などの価格に応じて増減するため、社会情勢や市況の影響を受けやすい項目となります

電気の使い方を工夫するのはもちろん、燃料費調整額の動きを知っておくことも、無駄のない電気代管理につながります。

家計の電気代が気になるといった場合は、ENEOSでんきに乗り換えるといくらオトクになるのか一度シミュレーションすることをおすすめします。

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著者 ENEOS Power編集部

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