引越しで冷蔵庫を安全に運び、新居で正常に稼働させるためには、事前の準備から設置後の対応まで正しい手順を守ることが欠かせません。
電源を切るタイミングを誤れば水漏れや故障の原因となり、設置直後に食材を入れると庫内温度が安定せず食品が傷むことも……。
この記事では、冷蔵庫を引越しする際の電源オフの時期、運搬中の注意点、設置後に電源を入れる適切な時間や食材を収納する最適なタイミングを解説します。
計画的に準備を整え、トラブルを防ぎ安心して新生活を始めましょう。
引越しの際には冷蔵庫の電源を切らないといけない!
引越しで冷蔵庫を運ぶ際は、遅くとも運び出しの15〜24時間前までに電源を切り、霜を溶かして発生した水を排出しておくことが重要です。
1〜2週間前から庫内の食材を計画的に消費し、3日前以降は新たな買い足しを控えましょう。
そして、前日に中身を空にしてコンセントを抜き、引越し当日までに霜取りと水抜きを必ず完了させる流れが基本です。
冷蔵庫の電源は何時間前までに切る必要がある?手順を説明
引越しで冷蔵庫を運ぶ際は、遅くとも運び出しの15〜24時間前までに電源を切り、霜取りと水抜きを始めてください。
以下の4ステップで、準備を進めると効率的です。
- 【1~2週間前】冷蔵庫の食材をなくすための準備
- 【3日前】新たな食品の買い足しはやめる
- 【24時間前】冷蔵庫を空にして電源を切る
- 【前日~当日】水抜きと霜取りを実施する
それぞれの注意点について、下記で詳しく解説します。
【1~2週間前】冷蔵庫の食材をなくすための準備
引越し前日までに冷蔵庫を空にする必要があるため、1〜2週間前から計画的に食材を減らしていく必要があります。
冷蔵庫の中身を確認し、引越し日までの献立を立てて効率よく消費しましょう。特に冷凍食品やアイスは早めに使い切り、消費が難しい場合は処分の検討も必要です。
自治体のゴミ回収日を確認しながら不要品は早めに処分しましょう。ギリギリの準備では、食品を無駄にすることもあるため注意が必要です。
【3日前】新たな食品の買い足しはやめる
前日に冷蔵庫を空にすることを想定し、引越し3日前以降は、新たな食品の買い足しを控えましょう。
必要に応じて、デリバリーサービスなどを活用することで、無駄な食品の買い足しを防止できます。
常温保存できる調味料や加工食品の一部は段ボールに詰めて持ち運べるので、この段階で荷造りを始めましょう。
一方で、冷蔵や冷凍が必要な生鮮食品は業者による運搬対象外になるので注意が必要です。
また、夏場は食中毒のリスクが高まるため、引越しで運ぶ食品は必要最小限にとどめましょう。

クーラーボックスと保冷剤を使えば一時的な運搬は可能ですが、長時間の保存には向かないため、生ものはできるだけ使い切るか処分するのが賢明です。
【前日】冷蔵庫を空にして電源を切る
引越し前日の段階で残っている生鮮食品はすべて処分します。冷蔵庫を空にして必ず電源を切りましょう。
冷蔵庫内に薄い霜が残っている場合は、お湯に浸して固く絞った布で拭き取ると効果的です。
一方、霜が厚い場合は溶けるまで半日以上かかることもあるため、早めに電源を落として霜取りを始め、運搬までに霜と氷を完全に溶かしておく必要があります。霜が解けた際に床に水たまりができないように注意が必要です。

最新機種の中には自動霜取り機能を備えた冷蔵庫もあります。そのような場合は当日に電源を切っても問題がない可能性もあるので、自分の冷蔵庫が何年製のものか自動霜とり機能が搭載されているか取扱説明書を確認しましょう。
【前日~当日】水抜きと霜取りを実施する
電源を切ってから15〜24時間後には、冷蔵庫内の霜が完全に溶けていることを確認し、水抜きと霜取りを行いましょう。
霜取りは庫内の霜や氷を溶かす作業、水抜きは溶け出した水を捨てる作業です。実施の際は冷蔵庫周辺に布を敷き、扉を開けて霜を早く溶かすようにします。
霜が溶けた後は蒸発皿や給水タンクに溜まった水をすべて捨て、自動製氷機能付きの機種では製氷皿や貯水ケースの水も忘れずに処分します。
冷蔵庫内や冷凍室の壁に水滴が残っていれば布巾で拭き取り、しっかり乾かしてから運搬に備えましょう。
なお、具体的な作業方法は機種によって異なるため、事前に取扱説明書を確認しておくと安心です。
引越し先の電気の手続きは済ませていますか?
引越し先で当日から電気を使えるようにするためには、事前に新居の電気使用開始手続きを行う必要があります。
直前の申し込みでは電気の開通が間に合わず、当日に電気が使えない恐れがあります。
そのため、目安としては遅くとも引越し日の1週間前までに電力会社への申し込みを済ませましょう。
電力会社によっては日程が近いとWebでの手続きを受け付けない場合もあるため、余裕を持った準備が重要です。
特に引越しシーズンの3〜4月は申し込みが集中しやすかったり、地域や新築物件では開通までに時間を要したりする場合があるため、早期の手続きを徹底しておくと安心です。
事前準備を整えれば、新居到着日からスムーズに電気を利用でき、新生活を快適に始められます。
冷蔵庫の掃除は、中身を空にし、取り外せる棚やパーツを洗浄してから拭き上げるのが基本の流れです。棚や仕切り板などは外して薄めた中性洗剤を含ませた布巾やキッチンペーパーで冷蔵庫内を拭きましょう。汚れが軽ければ、お湯に漬けて固く絞った布で拭くだけでも十分です。
その後は、2回水拭きして洗剤を残さないようにしましょう。ゴムパッキン部分は、綿棒や歯ブラシを使うと汚れが落ちやすくなります。
冷蔵庫の掃除にあると便利なアイテム
- 中性洗剤
- 柔らかいスポンジ
- 清潔な布巾やキッチンペーパー
- 綿棒や歯ブラシ
アルカリ性洗剤や研磨剤、たわしなどは、冷蔵庫内を傷つける可能性があるため使用は避けてください。
自分で冷蔵庫を運ぶ際の注意点

重量物である冷蔵庫を自力で運搬する際は、事故や損傷を防ぐために入念な準備が欠かせません。
注意点は、3つあります。
- 床や壁を養生シートや段ボールで保護し、搬入経路を安全に確保する
- 冷蔵庫本体を毛布や専用カバーで覆い、扉をテープで固定して衝撃や開閉を防ぐ
- 可能な限り立てたまま運び、傾きは最小限にとどめる
3つの注意点を守ることで、自力での運搬時のリスクを大幅に減らせます。
①床や壁の保護と搬入経路の確認
冷蔵庫を移動する前には、床に養生シートや古い毛布を敷き、壁やドア枠には段ボールを貼って保護しておきましょう。
特に廊下やドア枠、柱の角などは衝撃で傷がつきやすいため、重点的に養生することが重要です。賃貸物件の場合、壁や床を傷つけると原状回復費用が発生するため、丁寧な保護が欠かせません。
あわせて、玄関や廊下、エレベーターなどの搬入経路の幅が冷蔵庫のサイズに対して十分か事前に確認し、新居での設置場所の広さや、コンセントの位置も忘れずにチェックしましょう。
搬入経路に家具がある場合は前もって移動し、スペースの確保が必要です。通路幅が不足する場合には、冷蔵庫の扉や建物のドアを外すといった対応も必要となります。
大型冷蔵庫は、通路に余裕がないと搬入できない場合があるため、いざ当日になって買い換えることにならないよう注意しましょう。
②冷蔵庫本体の保護
冷蔵庫本体は運搬中の傷や凹みを防ぐため、専用のキルティングカバーや毛布で全体を包んで保護しましょう。
塗装の剥がれや表面の損傷を防ぎ、万が一壁やドア枠に当たった場合も衝撃を和らげることができます。毛布で包む際はひもやテープでしっかりと巻き付けて固定し、運搬中にずれないようにすることが大切です。
また、扉が勝手に開くと搬送中に人や壁へぶつかり、冷蔵庫本体や周囲を傷つける恐れがあります。運搬中に冷蔵庫の扉が開かないようガムテープやひもで固定しておくと安全です。
③傾けすぎない運び方
冷蔵庫の運搬は、基本的に立てたまま行うのが理想です。可能なかぎり縦向きを維持し、横向きにしないよう注意しましょう。
プロの引越し業者も立てたままの運搬を原則としています。理由は、冷蔵庫を大きく傾けると冷却装置内部のオイルが流れ出し、冷却機能に不具合が生じる可能性があるからです。
さらに、横倒しにすると本体の強度が保てず、衝撃で冷媒配管が破損したり、傷やへこみが発生したりする危険もあります。そのため、横倒しでの運搬はメーカーが禁止している場合がほとんどです。
やむを得ずななめにする場合は、角度をできるだけ浅くし、一般的に45度以内にとどめるのが安全と言われています。
ENEOSでんきでは、一般家庭向けやオール電化住宅向けなど、ライフスタイルに合った豊富な電気料金プランをご用意しています。電気を切り替えると電気代がいくらお得になるのかシミュレーションしてみましょう!
新居での冷蔵庫設置後の注意点

新居で冷蔵庫を設置した後は、電源を入れるタイミングと食材を入れるタイミングに注意が必要です。設置直後に電源を入れると故障の原因となり、十分に冷えない状態で食品を入れると食品が傷む可能性があるためです。
ここでは、適切な手順を紹介します。
①電源を入れる適切な時間
冷蔵庫を新居に設置した後は、すぐに電源を入れずに静置することが重要です。
冷却システムのコンプレッサーには潤滑用のオイルがあり、運搬中の揺れや傾きで配管内に移動している可能性があります。
その状態で直後に電源を入れると、オイルが元に戻らず冷却機能に不具合が生じ、故障につながる恐れがあります。設置後は最低でも1時間程度待ってから電源を入れましょう。横倒しで運んだ場合は、さらに長めに静置すると安心です。
この待機時間を設けることで内部のオイルや冷媒が安定し、正常に冷却を開始できます。最新機種の中にはすぐに電源を入れても問題ない場合がありますが、トラブルを避けるためには一定の時間は静置するのが望ましいと言えるでしょう。
②食材を入れるタイミング
冷蔵庫の電源を入れてから庫内が十分に冷えるまでには、季節にもよりますがおおよそ5時間かかります。
真夏など気温が高い時期は、10時間近く要する場合もあります。庫内温度が約4℃まで下がってから食材を入れることが大切です。
電源を入れてから時間を空けずに食品を入れると、庫内の温度が下がり切っておらず、食材が傷んでしまうこともあります。
特に冷凍食品やアイスクリームは温度変化に弱く、品質が劣化しやすいため注意が必要です。
また、温かい食材を一度に入れた場合は冷蔵庫内の温度が上がり、設定温度に達するまでに時間と電力が余計にかかります。待機中はクーラーボックスなどに食材を一時保管しておくと安心です。
冷蔵庫の引越しは計画的に進めよう
冷蔵庫の引越しは事前準備と正しい手順を守ることが重要です。
新居に設置した後はすぐに電源を入れず、目安として1時間程度静置し、庫内が十分に冷えてから食材を入れることで故障や食品の劣化を防げます。計画的に進めれば、引越し後も安心して冷蔵庫を使用できるでしょう。
さらに、この機会に新居での電力使用を見直すこともおすすめです。電気料金シミュレーションを活用して冷蔵庫を含む家電の消費電力を把握し、無駄を減らしてお得なエネルギー利用につなげましょう。
暮らしの電気とガスの情報サイト「ENEeee!」を運営。エネルギーに関する情報や日々の暮らしに役立つ節約術・豆知識などを発信しています。毎月更新する記事を通じて、わくわくと驚きをお届けします。