「キッチンや浴室の換気扇を24時間つけっぱなしにすると電気代はどれくらいかかるのか」。多くの方が気になるテーマですが、換気扇は消費電力が小さいため、実は他の家電に比べて電気代は安く済みます。
この記事では、キッチン・浴室・トイレなど、場所ごとの換気扇の電気代をシミュレーションしていきます。つけっぱなしにするメリット・デメリットや、今すぐ実践できる効果的な節電方法もご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
換気扇の電気代はどのくらい?
換気扇の消費電力は小さく、他の家電に比べて電気代が安く済むため、家計に大きな負担をかけることはほとんどありません。場所ごとの具体的な金額をみてみましょう。
- キッチンの換気扇:24時間つけっぱなしで、1カ月約179円(弱運転)
- 浴室の換気扇:24時間つけっぱなしで、1カ月約435円(弱運転)
- トイレの換気扇:24時間つけっぱなしで、1カ月約42円
- 24時間換気システム:常に稼働しても、1カ月約743円
自宅にある換気扇の電気代を、場所ごとに詳しく解説していきます。
①キッチンの換気扇の電気代
料理のにおいや煙をパワフルに吸い込んでくれるキッチンの換気扇。モデルによっては「強」「中」「弱」といった風量の調整ができます。
ここでは、一般的なレンジフードの消費電力を例に、24時間つけっぱなしにした場合の電気代を試算してみましょう。
1日(24時間)あたり | 1カ月(30日間)あたり | 1年(365日)あたり | |
---|---|---|---|
弱(8W) | 5.95円 | 178.56円 | 2,171.88円 |
中(11.5W) | 8.56円 | 256.68円 | 3,121.94円 |
強(28.5W) | 21.2円 | 636.12円 | 7,738.46円 |
常時(5W) | 3.72円 | 111.6円 | 1,357.8円 |
電力量料金単価は全国家庭電気製品公正取引協議会が示す31円/kWhを使用。
上記の通り、キッチンの換気扇は24時間つけっぱなしにしても、「弱」運転なら1カ月でわずか180円程度です。調理中だけ「強」運転、それ以外の時間は「弱」運転に切り替えるか「常時」などの弱い運転モードを活用することで、電気代を抑えつつ快適な環境を保てるでしょう。
②浴室の換気扇の電気代
お風呂に入った後の湿気や、気になるカビの対策に欠かせない浴室換気扇。つけっぱなしにすることで、お掃除の手間を減らせるメリットもあります。
換気扇の種類によっても電気代は異なるため、ここではパワフルな大風量タイプと、小型の換気扇に分けて、24時間つけっぱなしにした場合の電気代を比較してみましょう。
1日(24時間)あたり | 1カ月(30日間)あたり | 1年(365日)あたり | |
---|---|---|---|
弱(19.5W) | 14.51円 | 435.24円 | 5,295.42円 |
強(25.5W) | 18.97円 | 569.16円 | 6,924.78円 |
電力量料金単価は全国家庭電気製品公正取引協議会が示す31円/kWhを使用。
近年主流になりつつある、換気能力を重視した風量が強めのタイプです。
1日(24時間)あたり | 1カ月(30日間)あたり | 1年(365日)あたり | |
---|---|---|---|
弱(4.2W) | 3.13円 | 93.96円 | 1,143.18円 |
強(6.8W) | 5.06円 | 151.78円 | 1,846.61円 |
電力量料金単価は全国家庭電気製品公正取引協議会が示す31円/kWhを使用。
風量が控えめな分、消費電力も少なく抑えられています。
お使いの換気扇がどちらのタイプかによって電気代は変わりますが、どちらにしても、カビや結露を防ぎ清潔な状態を保つためのコストとしては安価といえるでしょう。
③トイレの換気扇の電気代
不快なにおいを解消するため、 つけっぱなしにすることも多いトイレの換気扇 。ここでは、一般的なトイレに設置されている換気扇を例に、24時間つけっぱなしにした場合の電気代を試算してみました。
1日(24時間)あたり | 1カ月(30日間)あたり | 1年(365日)あたり |
---|---|---|
1.41円 | 42.34円 | 515.19円 |
電力量料金単価は全国家庭電気製品公正取引協議会が示す31円/kWhを使用。
上記の通り、トイレの換気扇は1カ月で42円ほどです。いつでも清潔な空気を保てると考えれば、つけっぱなしにしておいてもいいかもしれません。
④24時間換気システムの電気代
2003年の建築基準法改正により、すべての建物に設置が義務付けられた「24時間換気システム」。窓を開けずに効率よく換気を行うことで、シックハウス症候群などの健康被害を防ぐ目的があります。
24時間換気システムには、給気と排気の両方を機械で行う「第1種換気方式」、給気だけを行う「第2種換気方式」、排気だけを行う「第3種換気方式」の3つがあります。
ここでは、高気密・高断熱の戸建住宅で推奨されている第1種換気方式の24時間換気システムの電気代を試算してみました。
1日(24時間)あたり | 1カ月(30日間)あたり | 1年(365日)あたり | |
---|---|---|---|
50Hz | 24.8円 | 743円 | 9,040.83円 |
60Hz | 29.90円 | 897円 | 10,918.50円 |
Panasonic 戸建住宅用 24時間換気システム ブレスファンシステムの場合。
目安消費電力:33W(消費電力は1カ月あたりの電気代から逆算したシステム全体の平均値)
24時間常時換気機器の消費電力、制御盤やトランス(変圧器)の電力を含めた価格。
24時間常時換気機器の設置数や種類により実際の総消費電力が高くなる場合があります。
全国家庭電気製品公正取引協議会が定める電力料金単価「31円/kWh(税込)」で算出。
初期費用や機器の価格がかかるものの、熱交換機能による冷暖房費の節約や安定した換気効果を得られます。
ENEOSでんきは、地域の電力会社と比較すると電力量料金単価が割安に設定されています。電気使用量が多い家庭ほどお得に利用できるプランです。いくらお得になるか電気料金シミュレーションで確認しましょう!
換気扇をつけっぱなしにするメリット
換気扇はにおいを排出するだけでなく、家全体の空気を循環させる役割を担っています。換気扇を24時間稼働させることは、健康で快適な生活空間を保つための最も手軽な方法のひとつです。
たとえ電気代が多少かかっても、そのメリットは費用をはるかに上回るでしょう。以下は、換気扇をつけっぱなしにするメリットです。
- カビや結露の防止
- 嫌なにおいの防止
- アレルギー対策
- 家の長寿命化
それぞれのメリットについて、詳しくみていきましょう。
①カビや結露の防止
湿気は、カビや結露のおもな原因となります。特に浴室やキッチンは、水を使うため湿気がこもりやすく、カビが発生しやすい場所です。
カビは見た目が悪いだけでなく、喘息やアトピーなどの健康被害を引き起こす恐れもあります。また、結露は放置するとカーテンや壁紙、さらには窓枠を傷める原因にもなります。
換気扇を常時運転させることで、湿度が上がりすぎるのを防ぎ、カビや結露の発生を大幅に抑えることができます。
カビが生えるたびに除去するのは手間がかかる作業ですが、換気扇をつけっぱなしにするだけで、清潔な状態を簡単に保てます。
なかでも、気密性が高い現代の住宅では湿気がこもりやすいため、換気扇による常時換気は効果的な対策といえます。カビの発生を防ぐことで、日々の掃除の手間を減らせるだけでなく、建物の維持管理にもつながるため、快適な住環境を維持する上で欠かせない習慣です。
②嫌なにおいの防止
キッチンで調理した際の油や食材のにおい、トイレの不快なにおい、さらにはペット臭やタバコなどの生活臭は放っておくと室内にこもり、壁・カーテン・家具・衣類といった布製品に染みついてしまいます。一度定着してしまったにおいは、窓を開けてもなかなか解消しきれません。
換気扇を常に回すことで、これらの嫌なにおいが室内にこもるのを防ぎ、給気口から屋外の新鮮な空気を自動的に取り入れることができます。空気の循環がにおいの元となる粒子を家から効率的に追い出し、定着を防ぎます。
窓を開けるのが難しい雨の日や、防犯面が気になる夜間でも、換気扇だけで高い消臭効果が期待でき、家全体を快適な状態に保てます。リビングなど、家族が集まる部屋の生活臭対策としても、換気扇の常時運転は有効です。
③アレルギー対策
窓を開けて換気を行うと、花粉やPM2.5、黄砂といったアレルゲンが室内に侵入する原因になります。特に花粉症やアレルギーを持つ方にとって、換気は必要不可欠でありながらも、症状悪化のリスクを伴います。
専用フィルター付きの24時間換気システムを備えた換気扇を常時稼働させておけば、窓を閉めたまま浄化された空気を取り入れることが可能です。
また、換気扇は、家の中の汚れた空気を継続的に外に排出することで ハウスダストやダニの繁殖を抑制し、空気中のアレルゲンを屋外に排出しやすくします。 新築やリフォーム後の住宅で問題となりやすい、シックハウス症候群の原因となる建材や家具から発生するホルムアルデヒドなどの有害な化学物質も、効率的に屋外に排出します。
室内の空気が常に清浄な状態に保たれ、アレルギー症状に悩む方の負担も軽減されるでしょう。空気清浄機と併用すれば、その効果を高められ、さらに快適な室内環境を維持できます。
④家の長寿命化
高気密な現代の住宅では湿気がこもりやすく、建物内部に悪影響を及ぼすことがあります。特に木造住宅の柱や基礎、土台といった構造材は湿気に弱く、湿気が原因で腐食したり、シロアリが発生したりするケースも少なくありません。
木材が傷むと家の強度が低下し、耐震性にも影響を及ぼすため、大規模な修繕が必要になることもあります。
換気扇を常時運転させることで、室内の湿気を効率的に屋外へ排出し、建物内部の湿度を適正に保てます。建材が湿気によって傷むのを防ぎ、カビやシロアリの繁殖を抑えることができるでしょう。
結果として、家の寿命を延ばし、将来的な修繕費用や建て替え費用といった大きな出費を抑えることにつながるのです。
換気扇をつけっぱなしにするデメリット
換気扇を24時間稼働させることは、カビや結露の防止、嫌なにおいの除去など多くのメリットをもたらしますが、いくつかの注意点も存在します。
おもなデメリットは以下の2つです。
- 掃除頻度の増加
- 冬場の室温低下
日々の生活で直面しやすいのは、お手入れの手間と冬場の室温への影響です。これらのデメリットを事前に理解しておくことで、賢く換気扇を活用し、快適な室内環境を維持できます。
では、それぞれのデメリットについて詳しくみていきましょう。
①掃除頻度の増加
換気扇を24時間稼働させると、その分、ホコリや油汚れが付着しやすくなり、掃除の頻度が高まります。換気扇は室内の空気に含まれるホコリ・チリ・料理の油煙などを吸い込むため、使用すればするほどフィルターやファンに汚れが蓄積するのです。
汚れを放置すると換気効率が低下し、本来の性能が発揮できなくなるだけでなく、モーターに余計な負荷がかかり、最悪の場合、故障の原因にもなりかねません。また、換気扇の排気口だけでなく、給気口のフィルターにもホコリがたまりやすくなります。
フィルターが詰まると換気がうまく行われなくなり、部屋の空気環境が悪化する可能性があります。快適な空気環境を維持するためには、定期的な掃除が必要であり、これがデメリットのひとつとなるでしょう。
②冬場の室温低下
換気扇は、室内の空気と外気を入れ替えることで機能するため、冬場は室温が下がりやすくなるというデメリットがあります。
冷たい外気が給気口から取り込まれることで、せっかく暖房で温めた室内の空気が冷えてしまい、暖房効率が著しく悪くなることがあるのです。その結果、暖房費がかさんでしまう可能性も考えられます。
また、冬は暖房によって室内の水蒸気量が減少し、乾燥しやすくなります。加えて、換気によって室内の水蒸気が外に排出され、冷たい空気が室内に入り込むことで窓や壁が冷やされ、温度差が生じて結露が発生しやすくなることも。
しかし、このデメリットは工夫次第で軽減できます。たとえば、サーキュレーターやシーリングファンを使って室内の暖かい空気を循環させたり、厚手のカーテンや断熱シートで冷気の侵入を防いだりすることで、室温の低下を抑えられます。
換気扇を効率よく使う方法
快適な暮らしを実現するために、ここでは、換気効率の向上と電気代の節約に役立つ3つのポイントをご紹介します。
- こまめな掃除
- 給気口の確保
- 古い機種の交換
日々の使い方やお手入れ方法を少し見直すだけで、その効果は大きく変わるものです。また、古い機種から最新のものに交換するだけで、さらに大きな節約効果と高い換気性能が期待できます。
以下で詳しくみていきましょう。
①こまめな掃除
換気扇を効率よく使うためには、こまめな掃除が必要です。換気扇は、24時間稼働している間、空気中のホコリや料理の油煙、料理の際に舞う微細な食材の粒子などを吸い込み続けます。フィルターやファンには目に見えない汚れが少しずつ蓄積し、やがては換気効率の低下を招いてしまうのです。
汚れが溜まるとファンの回転がスムーズにいかなくなり、本来の性能を発揮するために余計な電力が必要となり、結果的に電気代の増加につながる可能性があります。
なかでもキッチンの換気扇は、油汚れが付着しやすいため、3〜6カ月ごとの掃除が推奨されています。一方で、浴室やトイレの換気扇は、ホコリがおもな汚れなので1カ月に1回程度の掃除が理想的です。
ただし、掃除方法は製品によって異なるため、必ず取扱説明書を確認してから作業を行いましょう。定期的な掃除によって換気効率を維持することが、電気代の節約につながります。
②給気口の確保
換気扇を効率よく機能させるためには、給気と排気のバランスが大切です。多くの換気扇は、室内の汚れた空気を屋外に排出する「排気」の役割を担っています。
この時、排出した空気の分だけ室内に新しい空気を供給する「給気」が適切に行われなければ、換気扇に負担がかかるだけでなく、換気効率が大幅に低下してしまうのです。
たとえば、浴室の換気扇を回す際は、ドアを閉めて給気口(ガラリ)から空気を取り込むことが基本です。もしドアを開けたまま換気扇を回すと、空気の流れが分散してしまい、浴室内の湿気が家全体に広がってしまう可能性があります。
部屋全体の換気を行う際も、給気口や窓を数センチ開けるなどして、空気の通り道を確保することが大切です。給気口にホコリが詰まっていると、十分な給気ができなくなるため、定期的な掃除を心がけましょう。
③古い機種の交換
現在使用している換気扇が古く、設置から10年以上経過している場合は、省エネ性能の高い新しい機種への交換を検討しましょう。古い換気扇は、長年の使用による部品の劣化や、古い技術による消費電力の高さが原因で、電気代がかさむ傾向にあります。
最新の省エネ型換気扇は、より少ない消費電力で高い換気性能を発揮できるよう設計されています。たとえば、DCモーターを搭載した機種は、従来のACモーターよりも消費電力が少なく、静音性にも優れています。
また、フィルターの取り外しが簡単でお手入れしやすいタイプも多く、日々の掃除の手間を減らすことが可能です。初期費用はかかりますが、長期的に見れば電気代の節約と快適な室内環境の両方を手に入れられるため、大きなメリットとなるでしょう。
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換気扇はつけっぱなしでも電気代は高くない
換気扇の電気代は、お使いの機種によっても異なりますが、いずれも1日あたりわずか数円~数十円と、家計に大きな負担をかけるものではありません。家全体の空気を常に新鮮に保ち、快適で健康的な住環境を維持できると考えれば、その経済性は高いといえるでしょう。
換気扇のつけっぱなしは、カビや結露の防止・嫌なにおいの除去・アレルギー対策・家の長寿命化など、多くのメリットをもたらします。
ホコリがたまりやすくなることや、冬場の室温低下といったデメリットもありますが、こまめな掃除や給気口の確保、古い機種の交換といった工夫で解決できます。紹介した内容を参考に、賢く換気扇を活用し、快適な毎日をお過ごしください。

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