深夜帯の電気料金が安くなる深夜電力。上手く活用できれば電気代を節約できますが、「深夜電力って何?」「どんな仕組み?」と疑問を持っている人もいるでしょう。
この記事では、深夜電力について解説。プランの種類や料金が安くなる理由、契約する際の注意点などを紹介します。
深夜電力とは?
深夜電力とは、電力会社が定める夜間の時間帯に限って、通常より安い単価で電気を使えるプランです。対象となる時間帯は、主に午後11時~翌午前7時。電気の使用が以下4機器の利用に限定されるのも特徴でしょう。
- エコキュート
- 電気温水器
- 蓄熱暖房器
- 蓄熱床暖房
深夜電力では、上記の機器に深夜帯のみ電気を届ける専用メーターが付いた別回線を用いるのが一般的。通常回線とは分けて計量される仕組みとなっています。
オール電化住宅に住んでおり、エコキュートなどの使用が多いなら、電気代の節約につながるでしょう。
深夜電力の種類は主に3つ
深夜電力と一口に言っても、電力会社によってプラン内容は多種多様。料金設定だけでなく、名称や時間帯は異なります。
ただし、地域の大手電力会社が提供してきたプランをもとにすると、次の3種類に大別できます。
種類 | プランの概要 | プランの料金制 |
|---|---|---|
深夜電力A | 契約電力0.5kW以下。小型電気温水器を利用する一般家庭向け | 契約単位の定額制が多いが、基本料金+電力量料金のプランもある |
深夜電力B | 契約電力1kW以上。エコキュートなどを利用する一般家庭向け | 基本料金+電力量料金 |
深夜電力C/D | 深夜電力Bの対象時間を短く、あるいは長くしたプラン | 基本料金+電力量料金 |
エリアによっては、深夜電力のプラン内容・名称が異なります。
他の電気料金プランと組み合わせて契約する
深夜電力は時間帯や用途が限定されるため、他の電気料金プランと組み合わせて契約しなければなりません。つまり、電力会社と2口契約し、電気料金を二重で支払わなければならないのです。
- 通常契約(従量電灯プラン等)+深夜電力契約=2口契約
そうは言っても、深夜電力の料金設定は割安なので、上手に組み合わせれば電気代を節約できます。しかし、夜間の電気使用量が少ないと、逆に高くつくケースもあるので要注意です。

編集部
深夜電力は、エコキュートなどを導入した住宅のみ契約できる場合があります。その点も、留意しておきましょう。
深夜電力はなぜ電気料金が安い?
深夜電力が安くなる主な理由は「昼夜の電力需要の差」と「電力の有効活用」です。
電気の使用量は昼が多く、夜間は少なくなります。年間で最大電力を発生した1日の時間帯データを見ると、電気使用量のピークは午前10時〜午後3時。最も少なくなるのは午前2時〜午前5時でした。
電気は使用量が最も多い時間帯に問題なく供給できるよう設計されているため、使用量が少ない夜間は余剰が生まれてしまいます。そこで、夜間に余る電気を多く使ってもらうため、深夜電力は安くなっているのです。

編集部
夜間に電気が多く使われれば、発電所の稼働率を一定に保て、発電効率の向上が見込めます。深夜電力は、ユーザーだけでなく電力会社にもメリットがあるプランなのです。
深夜電力と夜間電力(時間帯別プラン)の違いは?
深夜電力と混同しやすいのが夜間電力でしょう。夜間電力は時間帯別プランとも呼ばれ、深夜電力と同様、夜間の電気料金が安くなるのが特徴です。一見すると似たプランですが、仕組みや契約方法は異なります。その違いは次のとおり。
| 特徴 | 電気の用途 | 契約口数 |
|---|---|---|---|
深夜電力 | 別回線で夜間の電気を割安で提供 | エコキュートなどに限定 | 2口 |
夜間電力 | 時間帯別に料金単価が異なる | 制限なし | 1口 |
要するに、深夜電力は「夜間限定の別契約」、夜間電力は「1契約内で昼夜の料金単価が異なるプラン」。夜間電力はオール電化でなくても契約でき、より多くのライフスタイルに対応できます。
ENEOSでんきでは、さまざまなライフスタイルにフィットする、シンプルでお得な料金プランをご用意しています。電力会社やプランの検討をされたい方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
- 自分に合った電気料金プランをお探しの方
- 電気の使用量が多い方
- Vポイントを貯めている方
- ガソリン代をお得にしたい方
お住まいの郵便番号や現在の契約プランなどを入力し、ENEOSでんきに切り替えた場合に、電気代がどのくらいお得になるのかをチェック!
大手で新規契約できる深夜電力は関西電力のみ
深夜電力は、一般家庭向けの多くが新規受付を停止しています。2025年10月16日現在、地域の電力会社で新たに契約できるのは関西電力だけ。ただし、「2016年3月31日以前から指定の供給設備があること」と「他の電気料金プランと合わせて契約する場合は契約電力などが計50kW未満」が条件です。
選べるプランは「深夜電力A」「深夜電力B」の2種類。どちらも年間契約で、他の電気料金プランと同様、燃料費調整額と再生可能エネルギー発電促進賦課金がかかります。
深夜電力A
小型電気温水器の利用者に向けたプラン。契約電力は0.5kWで、対象となる時間帯は午後11時~翌日午前7時です。料金は1契約単位の定額制で、単価は以下の通りです。
単位 | 料金 |
|---|---|
1契約 | 1,812.57円 |
深夜電力B
エコキュートや電気温水器などの利用者に向けたプラン。契約電力は1kW以上で、対象となる時間帯は午後11時~翌午前7時です。料金制度は基本料金+電力量料金で、単価は以下の通りです。
種類 | 単位 | 料金 |
|---|---|---|
基本料金 | 1kW | 317.94円 |
電力量料金 | 1kWh | 15.37円 |
電気使用量が0kWhの場合、基本料金は半額となります。
新規契約できない深夜電力
地域の大手電力会社では、既存契約者向けに深夜電力を提供しています。新規契約はできませんが、参考程度に覚えておくと良いでしょう。
電力会社 | 深夜電力プラン |
|---|---|
北海道電力 | 深夜電力A/深夜電力B/深夜電力C/深夜電力D |
東北電力 | 深夜電力A/深夜電力B/深夜電力C |
東京電力 | 深夜電力A/深夜電力B |
中部電力 | 低圧深夜電力/わくわくホット(沸増型電気温水器契約)/第2深夜電力 |
北陸電力 | 深夜電力A/深夜電力B/深夜電力C/深夜電力D |
関西電力 | 第2深夜電力 |
中国電力 | 深夜電力A/深夜電力B/第2深夜電力 |
四国電力 | 深夜電力A/深夜電力B/第2深夜電力 |
九州電力 | 深夜電力A/深夜電力B/第2深夜電力 |
沖縄電力 | 深夜電力A/深夜電力B |
ENEOSでんきでは、一般家庭向けやオール電化住宅向けなど、ライフスタイルに合った豊富な電気料金プランをご用意しています。電気を切り替えると電気代がいくらお得になるのかシミュレーションしてみましょう!
深夜電力が少なくなった主な要因

多くの電力会社が深夜電力の新規受付を停止していると知って、「なにか問題があるのではない?」と気になった人もいるでしょう。そんな不安を払拭するため、深夜電力が少なくなった主な要因を解説します。
夜間の電力需要が増加
夜間の電力需要が増加したことは、深夜電力が減少した理由に挙げられます。かつては夜間の電力需要が少なく、余った電気を活用する目的で深夜電力が導入されました。しかし、現在は昼夜の需要差が少なくなっています。
年間で最大電力を発生した1日における昼夜の差は、2010年だと日本全体で8700万kW。2023年では4400万kWでした。
差が縮まった要因はさまざまですが、オール電化住宅の普及や電気式温水器の増加が考えられます。特にエコキュートは出荷台数が2010年時点で約282万台でしたが、2024年には939万台と3倍以上増加しています。
こうして「需要の少ない深夜に電気を安く提供する」という前提が揺らいだことが、深夜電力の減少につながったと考えられます。
太陽光発電などによる昼間の電力供給量アップ
太陽光発電や省エネ家電の普及も、深夜電力の減少に大きく影響しています。
太陽光発電の自家発電によって昼間の電力をまかなうケースが増えました。省エネ家電による消費電力の低減も、より家電を使う昼間のほうが恩恵を受け、昼夜の需給バランスが変わる一因になったと推測されます。
こうした変化によって「夜間の余剰電力を安く提供する」という意義が薄れたことが、深夜電力の必要性も低下しました。
電気料金プランの多様化による影響
2016年の電力自由化によって、電気料金プランが多様化したことも、深夜電力が減った理由でしょう。
新たに小売電気事業へ参入した「新電力」は独自の電気料金プランを展開。中には、使い勝手の良いおトクな夜間電力の料金プランも登場し、相対的に深夜電力のニーズが減少しました。
結果、大手電力会社をはじめ、市場環境の変化に合わせて料金プランを再編。結果的に、深夜電力が少なくなっていったのです。

ENEOSでんきは、地域の電力会社と比較すると電力量料金単価が割安に設定されています。電気使用量が多い家庭ほどお得に利用できるプランです。いくらお得になるか電気料金シミュレーションで確認しましょう!
深夜電力を契約する際の注意点
続いて、深夜電力を契約する際の注意点を2つ紹介します。
新規では提供エリアが限定される
深夜電力の新規契約は、大手電力会社では関西電力しか受け付けておらず、提供エリアは限られています。さらに、エコキュートなどが備わっていることや、深夜電力用のメーターを設置していることなどを、条件としていることも少なくありません。
このように、深夜電力は選択肢が限られ、誰でも手軽に利用できる状況ではないのが難点。契約を検討しているなら、「そもそも利用できるか」の事前確認が必須です。
深夜の電力消費量が少ないと高くつくことも
深夜電力の料金単価は確かに割安ですが、場合によっては電気代がかえって高くなることもあります。
深夜電力は、他の電気料金プランとの二口契約です。夜間の使用量が少ないと、深夜電力による電力量料金の節約より、基本料金の負担が上回ってしまうことがあります。特に夜間電力で、深夜帯の電力量料金単価に差がない場合は要注意です。
深夜電力以外の電気代を節約する方法
深夜電力を契約する以外にも、電気代を節約する方法はあります。具体的には次の3つです。
- 家電の使い方を効率化する
- 省エネな家電に買い換える
- 電力会社・電気料金プランを切り替える
電気の使いすぎで電気代が高くなっているなら、これらの節約術は効果的でしょう。
家電の使い方を効率化する
電気使用量を抑えるなら、家電の使い方を見直すのが電気代節約の基本です。電気使用量の多い家電の節約ポイントを下記にまとめたので、取り組みやすいものから実践してみてください。
家電 | 主な節約術 |
|---|---|
エアコン | ・設定温度は冷房が28℃、暖房が20℃を目安にする |
冷蔵庫 | ・冷蔵庫の設定温度を抑える |
照明 | ・定期的に掃除し、本来の明るさを取り戻す |
電子レンジ | ・庫内に食材を置く際は間隔を空ける |
洗濯乾燥機 | ・洗濯物はまとめ洗いをする |
テレビ | ・主電源を切って待機電力を減らす |
省エネな家電に買い替える
古い家電を使っているなら、省エネな家電に買い替えるのも一案です。今どきの家電は、古いものと比べて省エネ性能が上昇しています。
10年前から今どきの機種に買い替えると、電気使用量をエアコンは約15%、冷蔵庫は約28〜35%削減可能。照明にいたっては、白熱電球から電球形LEDランプに替えると約86%も省エネです。
もちろん、購入費用がかかるので、節約目的の買い替えはおすすめしません。ただ、ライフスタイルが変わったり、家電の調子が悪かったりするなら、前向きに検討してみましょう。

編集部
家電を買い替える際は、必ず省エネ性能をチェック! メーカーのWebサイトやカタログには消費電力や電気代の試算が掲載されているので、参考にしてください。
電力会社・電気料金プランを切り替える
深夜電力にこだわらず、他のおトクな電気料金プランに切り替えるのも手でしょう。深夜だけでなく、昼や夕方なども電気を多く使うなら、電力量料金単価が安いプランのほうが適している場合もあります。
例えば、ENEOSでんきの「Vプラン」は電気を使うほど電力量料金単価が安くなるのが特徴です。テレワークなどで昼間の在宅時間が長い場合や、世帯人数が多い場合などは、電気代の節約に有効でしょう。
ENEOSでんきの夜間電力が安いプラン
深夜電力の代わりとなるプランを探しているなら、夜間電力がおすすめ。契約が1つで済んで電気代の管理がしやすいうえ、夜間の料金設定が深夜電力に負けないくらい割安なプランもあるからです。
ENEOSでんきには、利用者のニーズに応じた2つの夜間電力を提供しています。どちらも、おトクな料金設定となっているので、ぜひ選択肢の一つに加えてみてください。
ENEOSでんき「オール電化プラン」
オール電化プランは、オール電化住宅に住んでいる人向けの電気料金プランです。電力量料金が昼間より深夜、エリアによっては休日も電力量料金が安くなっています。提供エリアは北海道・東北・関東で、それぞれ料金設定は異なります。
ただ、いずれでも料金は割安。例えば、東京電力エナジーパートナーの「スマートライフL」から切り替えると、4人家族なら年間約3,000円おトクになるケースも。エコキュートなどで電気使用量が多い人は注目してください。
金額は2025年3月時点の参考目安です。
使用状況や契約内容によって、おトクにならない場合があります。
契約容量は8kVA。月間平均使用量を610kWh (※電気料金は100円未満切捨て)として算出しています。
金額には消費税を含み、燃料費調整額および再生可能エネルギー発電促進賦課金を含みません。
ENEOSでんきのオール電化プランは、北海道・東北・関東エリアのみの提供となります。
ENEOSでんき「EV夜とくプラン」
EV夜とくプランは、電気自動車(EVまたはPHEV)の所有者に向いた電気料金プランです。深夜1時~5時の「EVタイム」に電力量料金が割安になります。関西・中国・四国電力エリアでは「EV夜とくAプラン/Bプラン」が用意。種類によって、料金制度が異なります。
オール電化プラン同様、料金は地域の大手電力会社よりもおトク。東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bと比較すると、EVを1台所有する4人家族なら、電気代が年間約19,300円おトクになるケースもあります。
金額は2025年4月時点の参考目安です。
使用状況や契約内容によって、おトクにならない場合があります。
契約電流60A、平均月間使用量500kWhで算出。
金額は参考値です。消費税込で「にねん とく2割」を適用。燃料費調整額および再生可能エネルギー発電促進賦課金は含みません。
EVタイムの使用量はEV充電量80kWhと平均月間使用量からEV充電量を差し引いた値の12%相当を合計した数値です。
深夜電力だけでなく他の電気料金プランも比較検討しよう
深夜電力とは、夜間の電気に割安で利用できるプラン。深い時間帯に電気を多く使うなら、電気代を安くできる可能性があります。しかし、深夜電力を提供する電力会社は減少しており、選びにくいのが実情です。
そのため、他の電気料金プランにも目を向け、比較検討するのがベター。夜間に電気を多く使う人でも、深夜電力より夜間電力のほうがおトクなことも十分にあり得ます。ENEOSでんきでは料金設定が安い夜間電力を用意しているので、ぜひ料金シミュレーションで確かめてみてください。
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