食品の温めや解凍などで活躍してくれる電子レンジ。料理の下ごしらえなど多用途に使える便利な電化製品ですが、電気代がどれくらいかかっているか、気になっている人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は電子レンジの電気代の計算方法やシーン別の電気代を解説。さらに電気代を節約するテクニックも紹介します。
電子レンジの電気代
電子レンジの電気代を求める方法は2つあります。1つ目は、年間消費電力量から計算する方法。「年間消費電力量×電力料金単価」という式で、年間の電気代を求めることができます。
年間消費電力量は、規定の使用条件下で1年間使用した場合における電力量。各メーカーのWebサイトやカタログで調べられます。電力料金単価は、1時間あたりにかかる電力量料金の価格。電力料金単価は契約している電力会社や電気料金プランによって異なります。
この計算式を使って、電子レンジの電気代の目安を調べてみましょう。まず年間消費電力量は、経済産業省エネルギー庁による「省エネ性能カタログ2024」に記載された単機能レンジの平均値である59.6kWhを使用。電力料金単価は公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議が示す目安単価の31円/kWhで算出すると、電気代の目安は1847.6円となります。
2つ目は、家電の定格消費電力から計算する方法です。定格消費電力とは、電化製品が最大能力で作動している際の電力。「定格消費電力÷1000×電力料金単価」という式で、1時間あたりの電気代が計算できます。例えば、定格消費電力が1400Wの電子レンジなら「1400W÷1000×31円」で、1時間あたり約43.4円の電気代がかかります。

編集部
電子レンジは常に定格消費電力で作動しているわけでもありません。また、使い方によっても消費電力量に差が生まれやすいことは覚えておきましょう。
電子レンジを使う際に表示される500Wや600Wといった数値は、消費電力ではありません。これは「定格高周波出力」と呼ばれるもので、庫内の食品を温めるために使われるエネルギーです。数値が大きいほど、温める力も強くなります。
定格高周波出力には、食品の温め以外で使用する電力が含まれていません。電子レンジは食品を温める際も、ターンテーブルやファンの稼働などに電力を使用。実際の消費電力は、定格高周波出力のおよそ1.5~2倍かかります。例えば電子レンジを600Wで使う場合、約900~1,200Wの電力が消費されているのです。
シーン別の電子レンジの電気代例
ここからは、実際の利用シーンごとに電子レンジの電気代を算出してみましょう。定格高周波出力600Wでの使用を想定し、消費電力は1200W。電力料金単価は31円と仮定して試算します。
冷めたご飯を温める場合
冷えた食事を温めるのは、電子レンジで最も使用頻度の高いシーンでしょう。冷めたご飯を温めるとしたら、どれくらいの電気代がかかるのでしょうか?
ご飯の温度や量によって温める時間は変わりますが、例えば1分間なら0.62円、2分間では1.24円。一般的に、ご飯一膳の量なら1〜2分ほど電子レンジにかければ十分でしょう。
コップ1杯の水を温める場合
コップ一杯の水を180mlと仮定すると、電子レンジで温めるのに約1分半は必要でしょう。その際の電気代は0.93円です。
冷凍した食材を解凍する場合
冷凍した食材の解凍時間は、種類や量によって変わります。例えば、冷凍した鶏肉100gを解凍するなら。火が通らないように、低めの出力(定格高周波出力100〜150W)で3.5分〜5分程度の時間が必要。ただ、今回は通常の出力(定格高周波出力600W)での3.5分、4分、5分で電気代を計算します。
使用内容 | 電気代 |
---|---|
電子レンジで3.5分加熱 | 2.17円 |
電子レンジで4分加熱 | 2.48円 |
電子レンジで5分加熱 | 3.1円 |
野菜を蒸す場合
電子レンジは、野菜などの食材を蒸すときにも使えます。ポイントは、素材と量に応じた加熱時間にすること。もやしなど熱が入りやすい食材は1〜1.5分程度で十分ですが、じゃがいもなど硬めの食材は3〜5分程度が目安です。
使用内容 | 電気代 |
---|---|
電子レンジで3分加熱 | 1.86円 |
電子レンジで4分加熱 | 2.48円 |
電子レンジで5分加熱 | 3.1円 |
※加熱時間は150〜200g、定格高周波出力600Wと仮定。
電子レンジの電気代を他の家電・調理と比較
電子レンジで食材を温めたり、お湯を沸かしたりした場合と、他の電化製品や調理器具を使って加熱した場合のコストも気になるところでしょう。電子レンジを使った場合と他のコストを比較してみました。
ご飯の温めを炊飯器の保温モードと比較
IHの 3合以上5.5合未満の炊飯器で保温するときの消費電力量は、「省エネ性能カタログ2024」記載の平均値では14.1Whです。この数値をもとに、電子レンジでご飯を温めた場合と、炊飯器で保温した場合のコストを比べました。
家電製品 | 使用内容 | 電気代 |
---|---|---|
電子レンジ | 冷たくなったご飯を1分温める | 0.62円 |
冷たくなったご飯を2分温める | 1.24円 | |
炊飯器 | ご飯を1時間保温 | 約0.44円 |
ご飯を2時間保温 | 約0.87円 | |
ご飯を3時間保温 | 約1.31円 | |
ご飯を4時間保温 | 約1.75円 |
前述したとおり、ご飯一膳を電子レンジで温めるのに必要な時間は1分ほど。炊飯器で3時間以上保温するなら、炊飯器から出して保存し、電子レンジで温める方が電気代は安くて済むことが分かります。
もちろん、ご飯の量によっては、炊飯器による保温の方が電気代を節約できます。ただ、資源エネルギー庁によると「ご飯が1.5合の場合、炊飯器での保温時間が4時間以上になるなら電子レンジで加熱する方が低コスト」としています。
お湯を沸かすのを電気ケトルと比較
一般的な電気ケトルの場合、コップ1杯140mlの水を沸かすのに約1分かかります。電子レンジで水を沸かす場合も1分程度です。
家電製品 | 使用内容および商品名 | 消費電力 | 1分あたりの電気代 |
---|---|---|---|
電子レンジ | 水を1分加熱 | 1200W | 0.62円 |
電子ケトル | 1300W | 0.67円 | |
1300W | 0.67円 | ||
1250W | 0.65円 | ||
山善 EKG-C801で加熱 | 1000W | 0.52円 |
上記の通り、定格消費電力による計算上は、消費電力が低いモデルなら電気ケトルの方が電気代を節約できます。
野菜をコンロで煮る場合と比較
鍋に水を入れてガスコンロで煮る時間は、野菜や水の量によって異なります。今回は1Lの水(27℃程度)に100gの食材を入れて煮た場合と、電子レンジで煮る場合で比べてみました。
家電製品 | 使用内容 | 電気・ガス代 |
---|---|---|
電子レンジ | 2分加熱 | 1.24円 |
3分加熱 | 1.86円 | |
4分加熱 | 2.48円 | |
5分加熱 | 3.1円 | |
6分加熱 | 3.72円 | |
ガスコンロ | ほうれん草、キャベツを煮る | 3.69円 |
じゃがいも、里芋を煮る | 4.21円 |
ガス料金単価は162円/m3(平成29年版 ガス事業便覧 平成28年度実績 供給約款 合計料金平均)を元に計算。
電子レンジでほうれん草とキャベツを100g下ごしらえする場合、加熱時間の目安は2分以内。じゃがいも、里芋は4分前後となるので、電子レンジの方がガスコンロより電気代はかかりません。
ENEOSでんきは、地域の電力会社と比較すると電力量料金単価が割安に設定されています。電気使用量が多い家庭ほどお得に利用できるプランです。いくらお得になるか電気料金シミュレーションで確認しましょう!
電子レンジの電気代を節約するテクニック
ここでは、電子レンジの電気代を節約するテクニックを紹介。調理器具の中ではエネルギー効率が高い電子レンジですが、ちょっとした工夫で電気代をより抑えられます。毎日のように使う家電製品だけに、その効果は少なくないでしょう。
庫内を清潔に保つ
電子レンジの庫内が汚れていると加熱効率が低下。温めなどに、より多くの時間がかかってしまいます。汚れにマイクロ波が当たることで発煙や発火といったトラブルにつながる恐れも。庫内はこまめに掃除し、清潔を保つようにしましょう。
食品を詰め込み過ぎず間隔をあける
電子レンジの庫内に食品がぎっしり詰まっていると、加熱してもなかなか温まりません。食品は間隔を空けて加熱する方が省エネとなります。一度に入りきらない場合は、面倒でも複数回に分けましょう。

編集部
食材をカットしてから、電子レンジに入れると加熱時間を短くできます。
庫内の置き方を工夫する
電子レンジのマイクロは庫内にまんべんなく当たるわけではありません。ターンテーブルのある電子レンジなら、テーブルの外側に食品を置くことでマイクロ波が一様に当たり、効率的に加熱できます。
逆に、ターンテーブルのない電子レンジの場合は、庫内の中央に食品を置きましょう。センサーは中央にある食品を感知するため、加熱ムラを抑えることができます。
冷凍食品は冷蔵庫や常温で解凍しておく
カチカチに凍った食品は、解凍させてから電子レンジを使うのが効果的です。電子レンジで解凍しようとすると時間がかかってしまいます。
冷凍した食品を使うときは事前に冷蔵庫に移しておくこと。解凍には時間がかかるので、早めに冷蔵庫へと移すことがポイントです。
電力会社・電気料金プランを切り替える
いろいろな工夫をしても「電気代が高い!」と感じるなら、現在契約している電力会社、あるいは電気料金プランがライフスタイルに合っていないのかもしれません。
例えば、電気をよく使う家庭なら電気使用量が多いときの電力料金単価が安い電気料金プランが最適でしょう。また、住まいがオール電化なら、エコキュートなどの夜間蓄熱式機器が稼働する深夜帯の単価に安くなるオール電化プランが向いています。自分に合った電力会社・電気料金プランに切り替えることで、大きく電気代が節約できるでしょう。
ENEOSでんきでは、一般家庭向けやオール電化住宅向けなど、ライフスタイルに合った豊富な電気料金プランをご用意しています。電気を切り替えると電気代がいくらお得になるのかシミュレーションしてみましょう!
電子レンジのよくある質問
電子レンジについて、よくある質問をまとめました。
Q.電子レンジとオーブンレンジの違いは?
オーブンレンジはレンジ加熱だけでなく、オーブン加熱やグリル加熱も備えています。レンジ加熱とはマイクロ波による内側からの加熱なのに対して、オーブン加熱やグリル加熱はヒーターによる加熱。加熱方法が多彩な分、様々な料理に活用できます。
対する電子レンジは温めることに特化した調理家電です。レンジ加熱をするときの消費電力は、電子レンジでもオーブンレンジでもほとんど変わりません。そのため、両者の違いは「レンジ加熱以外の加熱方法の有無」と言えます。
Q.電子レンジを調理に使うメリットは?
電子レンジのメリットはたくさんありますが、以下がその代表例でしょう。
電子レンジは内部から加熱するので、ガスコンロよりも短時間で加熱調理ができるケースがほとんど。時短できるだけでなく、エネルギー代の節約にもつながるでしょう。
レンジ加熱は、お湯で茹でる場合と違って野菜などの栄養素が外に逃がしません。素材の美味しさを保ったまま、ヘルシーに調理できるのです。
鍋やフライパンを使わずに調理できるので、洗い物の手間を減らすことができます。特に、食材や調味料のこげつきなど、頑固な汚れがなくなるのはうれしいところでしょう。

編集部
ガスコンロを使わないので、コンロのつけっぱなしも発生しません。火事の心配が少なくなるのもメリットと言えるでしょう。
Q.電子レンジを使う際の注意点は?
電子レンジを使うときは下記の点に注意しましょう。
液体を加熱しすぎると沸騰しないまま“過熱”状態となり、爆発するように沸騰する「突沸」が起こる恐れがあります。水分の多い食品を温めるときは加熱時間を短めにし、途中でかき混ぜましょう。また、容器を密閉したまま加熱すると食品内部の圧力が高まって破裂することも。容器ごと過熱する際は、フタやラップを少し開けて加熱ください。
電子レンジの中には「電子レンジ使用可」と表示のある容器、耐熱温度140℃以上と表示されている容器しか入れてはいけません。例えば、木製や金属製、漆器、耐熱性でないガラスやプラスチックなどはNG。これらを電子レンジで加熱すると容器が溶けたり、火災が発生したりする危険があります。
必要以上に長い時間加熱すると、食品や容器から発火する恐れがあります。適切な加熱時間を見極め、冷凍食品などの場合は設定時間を守りましょう。
電子レンジの吸排気口周辺に物を置くと、故障の原因になります。また、加熱中は電子レンジの上面や背面も熱くなるので、物を置かないように。電子レンジの設置場所についても製品ごとの取扱説明書に従い、家具などと間隔を開けましょう。
ENEOSでんきでは、さまざまなライフスタイルにフィットする、シンプルでお得な料金プランをご用意しています。電力会社やプランの検討をされたい方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
- 自分に合った電気料金プランをお探しの方
- 電気の使用量が多い方
- Vポイントを貯めている方
- ガソリン代をお得にしたい方
お住まいの郵便番号や現在の契約プランなどを入力し、ENEOSでんきに切り替えた場合に、電気代がどのくらいお得になるのかをチェック!
電子レンジを活用して電気代を賢く節約しよう
さまざまな料理に使え、調理時間の時短もできる電子レンジ。上手に使えば、電気代の節約にも役立ちます。
しかし、より電気代を節約したいなら、契約する電力会社や電気料金プランを見直しましょう。電力会社を変更しても電気の品質は同じ。であるなら、より自分に適したおトクな電力会社に切り替えた方がスマートです。ENEOSでんきは電気を多く使う人にも向いているので、電子レンジでの調理を多用する人でも安心でしょう。

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