契約アンペアを適切に選ぶことは、電気代の節約につながります。ただ、そもそもアンペアが何かわからない人、なぜ電気代の節約に有効なのか知らない人も少なくないでしょう。
そんな疑問を解消するべく、アンペアの基礎知識を解説。電気代との関係や、適切な契約アンペア数の選び方、変更時の注意点なども説明します。
アンペア(A)って何?一般家庭における意味も解説
アンペア(A)とは、電子が流れる量を表す「電流」の単位です。つまり、1秒間に回路を流れる電気の量を示します。
一般家庭では、電力会社との契約容量を指すことが大半。契約アンペア数は一度に使える電気の量を表しており、容量を超えた電流を使うと、ブレーカーが落ちて電気の供給が止まる仕組みです。
ボルト(V)とワット(W)との違いは?
電気を表す単位には、アンペアの他にボルト(V)やワット(W)もあります。それぞれの違いは、次のとおりです。
電気を押し出す力である「電圧」の単位です。数値が大きいほど、電気が強い力で押し出されます。水に例えるなら、電流=アンペアは水が流れる速さ、電圧=ボルトは水圧と言えるでしょう。日本の家庭用電源では100Vが一般的。ただ、エアコンなど大きな電力を使う過程では200V電源も使われています。
1秒間あたりに消費される「電力」の単位です。ボルト×アンペアという式で算出。例えば100Vで10Aの電流が流れる場合は、100V×10A=1,000Wとなります。
契約アンペア数によって基本料金が決まる
「自宅のアンペア数なんて意識したことない」という人もいるかもしれませんが、電力会社との契約では必ず契約アンペア数を選びます。
多くの電力会社では「アンペア制」が採用されており、電気代は「基本料金+電力量料金±燃料費調整額+再生可能エネルギー発電促進賦課金」という式で算出。このうち基本料金は、契約アンペア数に応じて金額が決まります。
契約アンペア数が大きいほど多くの電力を同時に使えますが、大きくした分だけ基本料金が高くなるので注意しましょう。
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契約アンペア数を適切に設定するメリット
契約アンペア数は大きすぎず小さすぎない、ちょうど良い容量で契約することが重要。その主なメリットは、次の2点です。
- 電気代の節約につながる
- ブレーカーが落ちにくくなる
電気代の節約につながる
基本料金は契約するアンペア数が小さいほど安く、大きいほど高くなります。ENEOSでんきの「東京Vプラン」を例に挙げると、10Aは311.75円、20Aは623.50円、30Aは935.25円……という具合です。
数百円の違いですが、基本料金は毎月必ず発生する出費。少ない金額であっても、確実に節約できるのは大きな利点でしょう。
ブレーカーが落ちにくくなる
家庭で使っている電流の合計が契約アンペア数を超えると、ブレーカーが落ちて一時的に電気が使えなくなります。再び使えるようにするには、家電の電源を切り、ブレーカーを手で押し上げなければなりません。
現在の主流であるスマートメーターでは、ブレーカーが落ちても一定時間が経過すると自動復旧しますが、それでも頻繁に停電するのは不便。しかも、ブレーカーが複数回落ちるとロックアウト(遮断)状態となり、自動復旧しなくなってしまいます。
適切なアンペア数で契約することは、ブレーカーが落ちるリスクを減らすことにつながるのです。
契約アンペア数の調べ方
契約アンペア数を調べる方法は3つあります。万が一、すべて試して分からないようなら、電力会社のお客様相談窓口に直接問い合わせましょう。
WEBやアプリで調べる
契約アンペア数は、電力会社のWEBサイトやアプリで調べることができます。
電力会社が用意するマイページでは毎月の電気代や電気使用量だけでなく、契約内容も確認可能。契約アンペア数も手軽にチェックできます。
分電盤を確認する
分電盤とは、電力会社から送られてきた電気を各部屋のコンセントや照明などに安全に分配する装置。どの家庭にも必ず設置されています。
分電盤にはブレーカーが内蔵されており、その近くに契約アンペア数が示されています。

編集部
ちなみに、契約アンペア数を超えると電気を遮断する「アンペアブレーカー」は、分電盤でなくスマートメーター内に内蔵されているケースもあります。
検針票を見る
電力会社の検針票には、1カ月の電気代や電気使用量などに加えて、契約アンペア数も記載されています。
しかし、近年ではペーパーレス化が進み、WEBサイトでの確認へと移行した電力会社が多くなっています。地域の大手電力会社では紙での発行を申し込めば郵送してくれますが、発行手数料が発生する点には注意が必要です。
適切な契約アンペア数の選び方
適切な契約アンペア数の選び方を2つ紹介します。ぜひ、自分に当てはめながらチェックしてみてください。
世帯人数から選ぶ
契約アンペア数を選ぶ際は、世帯人数を基準にするのがオーソドックスでしょう。一緒に暮らす人数が多くなると同時に家電を使う機会が増え、それだけ電流も多く必要とするからです。
世帯人数に応じた契約アンペア数の目安は、次のとおり。これをベースにしながら、ライフスタイルや家電の使い方などを踏まえて検討してください。
世帯人数 | アンペア数の目安 |
|---|---|
一人暮らし | 20~30A |
二人暮らし | 30~40A |
3人家族 | 40~50A |
4人家族以上 | 50~60A |
よく使う家電のアンペア数から選ぶ
よく使う家電のアンペア数から、契約アンペア数を決めるのも効果的な選び方です。家電にはそれぞれ消費電力があり、メーカーのWEBサイトやカタログなどで調べることができます。その消費電力を電圧で割るとアンペア数を算出できるのです。
- ワット÷ボルト=アンペア
契約アンペア数は、同じ時間帯に使う家電のアンペア数の合計より、少し大きく設定するのがおすすめ。ただ、この方法は手間がかかるのがネックでしょう。そこで、主な家電のアンペア数の目安をまとめました。こちらも参考にしてください。
家電 | アンペア数 |
|---|---|
照明 | 1A |
テレビ | 3A |
こたつ | 5A |
エアコン(通常時:冷房) | 6A |
エアコン(通常時:暖房) | 7A |
電気カーペット | 8A |
掃除機 | 10A |
電気ストーブ | 10A |
アイロン | 14A |
エアコン(起動時:冷房) | 14A |
エアコン(起動時:暖房) | 20A |
冷蔵庫(400L) | 4A |
電気ケトル | 11A |
食器洗い乾燥機 | 13A |
炊飯器 | 14A |
IHクッキングヒーター | 14A |
電子レンジ | 15A |
洗濯機 | 3A |
ドライヤー | 12A |
ドラム式洗濯乾燥機(乾燥時) | 13A |
ENEOSでんきでは、さまざまなライフスタイルにフィットする、シンプルでお得な料金プランをご用意しています。電力会社やプランの検討をされたい方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
- 自分に合った電気料金プランをお探しの方
- 電気の使用量が多い方
- Vポイントを貯めている方
- ガソリン代をお得にしたい方
お住まいの郵便番号や現在の契約プランなどを入力し、ENEOSでんきに切り替えた場合に、電気代がどのくらいお得になるのかをチェック!
契約アンペア数を変更する方法

契約アンペア数の変更は、WEBサイトもしくは電話で申し込めます。以下それぞれについて解説します。
WEBで手続きをする
契約アンペア数は、電力会社のWEBサイトから簡単に変更できます。電力会社によって細かい手順は異なりますが、基本的な手続きは同じです。
まず電力会社のWEBサイトのマイページあるいはアプリにログイン。お客様番号あるいはログインIDとパスワードが必要となるので、手元に用意しておきましょう。
マイページからご契約内容変更の手続きをします。契約内容または契約容量の変更ページなどで、契約アンペア数の希望する容量を選択ください。工事が必要な場合、電力会社によってはWEB上で工事希望日を入力できます。
スマートメーターなら変更希望日になると自動的にアンペア数が切り替わります。従来型で工事が必要なら立ち会いが必須となるので、対応してください。
電話で手続きをする
事前準備として、電力会社のマイページや検針票でお客様番号を確認。その後、カスタマーセンターに電話し、契約アンペア数の変更を申し込みます。それ以降の手順は、WEBサイトからの場合と変わりません。
PCやスマホの操作が苦手な人や、お客様番号が分からない人などは電話のほうがスムーズでしょう。
ENEOSでんきを例に変更方法を解説!
ENEOSでんきを例に挙げ、契約アンペア数の手順を詳細に解説しましょう。
WEBから契約アンペア数を変更する方法
まずENEOSでんきのお客さまページにログイン。次に「お客さま情報→ご契約情報→ご契約容量等」を選択して、変更ボタンを押せば手続き完了です。
なお、変更内容によっては対応できないことがあるので、その場合はカスタマーセンターまで電話してください。
電話から契約アンペア数を変更する方法
「ENEOSでんき・都市ガス カスタマーセンター」に電話し、契約アンペア数を変更したい旨を伝えます。事前に検針票などに記載のお客さま番号を手元に用意しておくとスムーズでしょう。
| 窓口 | ENEOSでんき・都市ガス カスタマーセンター |
|---|---|
| 電話番号 | 0570-01-8704 |
| 受付時間 | 午前9時~午後5時 |
| 休日 | 日曜・祝日・年末年始 |

ENEOSでんきは、地域の電力会社と比較すると電力量料金単価が割安に設定されています。電気使用量が多い家庭ほどお得に利用できるプランです。いくらお得になるか電気料金シミュレーションで確認しましょう!
契約アンペア数を変更する際の注意点
契約アンペア数を変更する際の注意点を4つ紹介します。これらは、事前にきちんと把握しておきましょう。
契約アンペア数を変えられるのは年1回
契約アンペア数を変えられるのは、基本的に年1回のみ。「契約アンペア数を下げたらブレーカーがよく落ちるようになった。元に戻したい」といった場合でも、変更はできないので注意しましょう。
また、電力会社の切り替えと同時にアンペア数を変更するのも難しくなっています。電力会社を変える前にアンペア数を変えておくか、電力会社との契約開始後に手続きしましょう。
別途工事費がかかるケースがある
スマートメーターの場合は遠隔操作で契約アンペア数を変更可能。従来の分電盤ではアンペアブレーカーを取り外す工事が発生します。ただ、工事費は基本的にはかかりません。
しかし、大容量で契約し直す場合や、家庭内の配線工事が必要な場合は、工事費が発生する可能性があります。

編集部
古い配線方式の物件では、そもそも契約アンペア数を増やせないことがあります。その点は留意しておきましょう。
集合住宅ではアンペア変更できない場合がある
集合住宅では、契約アンペア数が指定されていることがあります。事前に管理規約を確認するか、管理組合に問い合わせておきましょう。
また、賃貸物件の場合、オーナーや不動産会社の承諾が必要です。建物全体の電力容量に制限があったり、退去時に元のアンペア数に戻す義務があったりするケースもあるので、注意しましょう。
契約アンペア数を下げた際のブレーカー対策
契約アンペア数を下げると、今までと同じように家電を使っていたらブレーカーが落ちやすくなるリスクがあります。ここでは、一時停電させないための対策を紹介しましょう。
家電の同時使用を控える
複数の家電を同時に使用して、うっかり契約アンペア数を超えてしまうケースは少なくありません。特に、消費電力の大きい家電を一緒に使うと電流が急に増えるため、注意が必要です。
消費電力の大きな家電は、できるだけ他の家電の電源を切ってから使用すること。電流が一気に大きくならないようにすることで、一時停電を防止できます。
省エネ機能やタイマー機能などを活用する
家電の省エネ機能は、節電だけでなくブレーカー対策にも有効です。同じ家電を使うにしても消費電力が下がれば、電流が高くなるリスクも減らせます。
エアコンや洗濯機などは、タイマー機能を使うのも手。常に注意していなくても、使用する時間が被らないように調整できます。
他もある! 契約アンペア数以外の電気代節約術
電気代を大きく節約したいなら、さまざまな手段を試してみるべき。契約アンペア数の見直しと合わせて、知っておきたい節約術を紹介します。
家電の消費電力を減らす
同じ家電でも、使い方を工夫することで電気代を減らすことができます。特に節電効果が高いのは消費電力が大きい「エアコン」「冷蔵庫」「電子レンジ」でしょう。手軽にできる節約術をそれぞれ解説していきましょう。
エアコンの節約術
設定温度は、冷房なら28℃、暖房なら20℃にするのが基本。さらにサーキュレーターで空気を循環させたり、窓やカーテンを閉めて断熱性を高めたりすると、エアコンを効率良く使うことができます。
また、室外機の周りに物を置かないことや、フィルターをこまめに掃除することもポイントです。
冷蔵庫の節約術
冷蔵庫は食品を詰めすぎないこと。食品の傷みに注意しながら、設定温度も緩和しましょう。冷気が逃げるのを防ぐため、ドアの開閉は最小限に抑え、開けている時間も短くするよう心がけてください。
電子レンジの節約術
冷蔵・冷凍した食品を温める際は、一度常温に戻しましょう。加熱が短時間で済んで省エネです。庫内に食品を詰め込むのもNG。上手く温められず、電気を余計に使うことになります。また、庫内をきちんと清掃しておくことも大切です。
省エネな家電に買い換える
新しい家電ほど省エネ化が進んでいます。例えば、照明器具を蛍光灯からLEDに取り替えると、電気代を年間で約2,108円も節約できます。
エアコンや冷蔵庫なども、省エネ性能の向上が著しい家電です。購入費用は高額ですが、古いモデルからの買い替えなら長期的に見ると、おトクなケースもあります。メーカーのWEBサイトやカタログを見ると電気代の目安が記載されているので、節約につながるか確認してみると良いでしょう。
68Wの蛍光灯器具から34WのLED照明器具に交換した場合。
電気代は全国家庭電気製品公正取引協議会による新電力料金目安単価の31円/kWhを用いて、年間点灯時間2,000時間で試算。

編集部
古い家電は、故障や漏電のリスクが高まります。また、最新の家電は多機能で、使い勝手も良好です。家電の調子が悪かったり、ライフスタイルに合っていなかったりするなら、買い替えを検討するのもアリでしょう。
電力会社・電気料金プランを切り替える
節約のためには契約アンペア数だけでなく、電力会社・電気料金プランの切り替えも検討してみましょう。電気代は電力量料金が占める割合が多くなっています。つまり、電力量料金の単価が安い電気料金プランを利用すれば、同じ家電を使っていても電気代を抑えられます。
例えば、ENEOSでんきの「Vプラン」は、電気使用量に応じて3段階で単価がおトクになる料金体系を採用。長期利用で電力量料金単価が安くなる「にねん とく²割」なども用意されています。電気代が高いと感じている人は、ぜひ注目してみてください。
にねん とく²割は更新月(適用開始から23〜24カ月目)を除いた適用期間中に解約された場合、解約手数料1,100円が発生します。
引越しによる解約でも解約手数料がかかります。新居でも継続利用するなら、解約手数料は発生しません。
契約アンペア数を見直して電気代を節約しよう!
アンペアは電流の単位であり、一般家庭では電力会社との契約容量を指すことが大半です。電気の基本料金は契約アンペア数に応じて金額が決まります。そのため、契約アンペア数の見直しは、電気代の節約に直結します。
ただ、電気代を大きく抑えたいなら、電力会社・電気料金の切り替えも合わせて検討しましょう。中でも、ENEOSでんきは電気使用量が多い人におすすめ。切り替えで電気代がどれくらい安くなるかは、以下の料金シミュレーションから確認ください。
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